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中東からの原油供給が滞るリスクが現実味を帯びている。ホルムズ海峡が封鎖されれば、世界の石油流通の約3分の1が途絶える可能性がある。特にフィリピンやベトナムなどASEAN新興国は中東原油への依存度が高く、備蓄量も極めて少ない。これらの国々の経済は打撃を受けやすく、エネルギー安全保障上の課題が浮き彫りになっている。
日本は過去の石油ショックを教訓に、石油備蓄法に基づき190日分以上の国家備蓄を維持してきた。しかしASEAN新興国は備蓄義務がなく、国際的な協力枠組みも未整備だ。仮に海峡封鎖が発生すれば、日本企業のサプライチェーンも寸断され、自動車や電子部品の生産拠点に直接影響が及ぶ。
ASEAN諸国は再生可能エネルギーへの移行を急いではいるが、コストとインフラ整備の遅れから依存度を下げきれていない。特に石炭火力からの卒業も道半ばで、中東石油への代替手段は限られている。このままでは地政学的リスクに対応できず、経済成長の足かせとなる。
日本が示すべき第3の選択肢とは、単なる石油備蓄の拡充だけではない。例えば、LNG(液化天然ガス)の共同備蓄や緊急時融通の枠組みづくりが考えられる。また、日本企業が持つ省エネルギー技術や再生可能エネルギーシステムの導入支援を通じて、ASEAN諸国のエネルギーミックス多様化を後押しする必要がある。
エネルギー安全保障は一国では完結しない。日本はASEANとの連携を強化し、中東依存からの脱却と持続可能なエネルギーシステムへの移行を同時に推進すべきだ。これは日本企業の競争力維持にも直結し、アジア全体の安定につながる戦略である。