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共同通信社は28日、和歌山県串本町で発生したダイビング事故の報道において、重大な事実誤認があったとして関係者の処分を発表した。和歌山支局長ら計5人を戒告の懲戒処分とし、組織としての管理責任を厳しく問う形となった。あわせて有田司・常務理事編集局長についても、監督責任として厳重注意処分としている。報道機関としての信頼を揺るがす事態に、社内では緊張が走っている。
問題となったのは3月10日に配信された記事で、事故に関与したとして無関係のダイビングショップ名を実名で報じていた。記事では当該ショップの経営者らが書類送検されたと伝えていたが、実際には全く別の業者の関係者であったことが判明した。同社は翌11日に速やかに記事を取り消したが、実名報道がもたらす社会的影響は極めて大きい。誤報の対象となった店舗への被害は計り知れないものがある。
処分の理由として、記事のチェック体制に深刻な不備があったことが挙げられている。社会部次長が取材にあたった記者2人に対し、店名を把握した経緯を十分に確認していなかった。同社は「事実関係の誤りが重大な人権侵害につながるリスクを踏まえれば、一層慎重に構えるべきだった」との見解を示している。現場の取材力だけでなく、デスク層の確認作業の甘さが露呈した格好だ。
今回の事態を受け、春木和弘総務局長は公式に謝罪の意を表明した。春木氏は「ダイビングショップと関係者、読者の皆さまに深くおわびします。取材においては事実確認を徹底し、再発防止に努めます」とコメントしている。今後は具体的な再発防止策の策定とともに、全社的な記者教育の徹底が強く求められる。一度失われたメディアへの信頼を回復するのは容易なことではない。
ベテラン記者の視点で見れば、今回のミスは取材の基本である裏取りを軽視した結果と言わざるを得ない。特に警察捜査に関わる実名報道においては、一歩間違えれば個人の人生や企業の存続を危うくする。メディア各社は、スピード重視の報道姿勢が招く危うさを今一度再認識すべきである。正確性こそがジャーナリズムの生命線であることを、我々は肝に銘じなければならない。