
出光興産の大型石油タンカー「出光丸」(パナマ船籍)が28日、ホルムズ海峡を通過した。関係者によると、同船は日本に向かっており、通過を巡るイラン側との交渉には日本政府が関与したという。中東情勢の緊迫化でペルシャ湾内に長期滞在を余儀なくされた日本関係船舶のうち、日本行きの船が湾外に出たのは初めてだ。
米国・イスラエルとイランの戦闘が2月末に始まって以降、日本関係の約40隻がペルシャ湾内から出られない状況が続いていた。出光丸はそのうちの一隻で、日本政府がイラン側と水面下で協議を重ねた末、今回の通過が実現した可能性がある。政府関係者は「外交ルートを通じた調整の一環」と説明するが、詳細は明らかにしていない。
船舶位置情報サイト「マリントラフィック」によると、出光丸は日本時間28日午後6時ごろにホルムズ海峡を通過し、同日深夜時点でオマーン湾を航行中だ。ペルシャ湾から日本までは通常約20日かかるため、5月中旬に日本に到着する見通しだ。同船には原油約200万バレルが積まれているとみられる。
今回の通過が他の日本関係船の救済につながるかは不透明だ。ある海運関係者は「政府の関与が個別案件にとどまるのか、包括的な枠組みに発展するのかはまだ分からない」と語る。専門家からは「ホルムズ海峡の安全航行を確保するには、国際社会との連携が不可欠だ」との指摘も出ている。
ホルムズ海峡は世界の石油輸送の約3割が通過する戦略的要衝だ。戦闘開始以降、民間船舶への攻撃リスクが高まり、保険料の高騰や運航回避の動きが広がっている。今回の政府関与が石油価格の安定や日本のエネルギー安全保障にどの程度寄与するか、今後が注目される。