t>

政府は在留外国人が日本語や社会規範を学ぶ「日本語・生活学習プログラム(仮称)」の創設に向け、有識者会議を設置して本格的な検討に入った。これまで外国人の「社会統合」施策は自治体や地域の負担に頼ってきたが、国が責任を持って「秩序ある共生」の基盤を整える狙いがあり、令和10年度にも試行する。最大の論点は、プログラムの受講費用を誰が負担するかだ。
有識者会議は「日本語・生活学習プログラム(仮称)の検討のためのワーキンググループ(WG)」で、7月24日の外国人政策の関係閣僚会議で設置が決まった。外国人住民の社会適応を促す体系的な学習制度は「社会統合プログラム」と呼ばれ、移民受け入れが進む欧米などで導入されている。
政府は今後、プログラムの学習内容や受講対象者、実施方法のほか、永住許可や長期滞在の在留資格の申請時に受講を許可条件とすることを検討。永住許可と帰化申請の審査では理解度も確認する方針だが、論点として受講費用の負担が浮上している。
既存の受け入れ制度では、日本語学習の費用負担は「受益者」の企業側に重きを置いてきた。「技能実習制度」では事実上、受け入れ企業や監理団体が日本語や法制度の学習を負担。来年4月から技能実習に代わる「育成就労制度」でも受け入れ企業が負担する。「特定技能制度」では、原則として受け入れ企業か現地の送り出し機関の負担が推奨されている。受益者である企業などが負担すべきという考え方だ。
諸外国に目を向けると、移民を多く受け入れるドイツは2005年から、ドイツ語を話さない外国人に言語や社会知識を教える「社会統合コース」の受講を義務づけ、費用は連邦政府の国家予算と受講者本人が負担している。韓国は2009年から社会統合プログラムを公費で実施してきたが、2025年からは一部受講者負担に移行した。
一方、ドイツなどでは国家予算投入への批判が絶えない。日本でも「日本語は自費で学ばせるべきだ」という声がある。政府はプログラムの財源として、在留外国人や受け入れ企業が納める在留手続き手数料の引き上げ分で補うことも検討している。
政府の有識者会議は今年1月に提出した意見書で、「外国人が日本語やわが国の社会規範などを学び、責任ある日本社会の一員として生活を営めるように環境を整備することは、諸外国の例などをもとに指摘されている将来の社会分断への恐れに対応する最も重要な投資である」と指摘した。