
国内で原子力発電に伴う高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分を巡り、新たな動きが生じている。処分場の選定は長年難航しており、その現状を再考する必要がある。
高レベル放射性廃棄物は「核のごみ」とも呼ばれ、使用済み燃料から再利用可能物質を抽出した後に残る廃液をガラス固化したものだ。最終処分場の場所は未定で、政府は東京都小笠原村の南鳥島での文献調査を申し入れ、村長が事実上容認し、5月に調査が開始された。
法ではHLWは地表から300メートル以上の地層に埋めて処分することが定められている。火山や地震の影響を受けない場所が前提だが、安全性への懸念から選定は進んでいない。
調査は文献、概要、精密の3段階で構成され、完了には約20年かかると想定される。HLWは強い放射線を出し続けるため、調査を受け入れる自治体が少ないのが実情だ。
南鳥島の文献調査は、北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町に次いで全国4例目。しかし、その先の調査に進んだケースはなく、地元首長らの賛成が必要となる。
最終処分場の問題は待ったなしの状態にある。令和6年末時点で、国内の使用済み燃料は貯蔵管理容量の78%を占め、早ければ約3年で満杯になる原発もある。原発が稼働し続ければHLWも増加し続ける。
地上での保管は災害や戦争の影響を受ける可能性があり、各国は地層処分を検討している。フィンランドでは最終処分施設が完成し、世界初の稼働が間近とされる。
HLWは約10万年もの隔離が必要とされる。一方で、日常生活に電気は欠かせず、私たちも最終処分について考える責任がある。
最終処分場がないまま原発からHLWを出し続ける現状は「トイレのないマンション」と比喩される。仮に原発稼働をゼロにしても、既存のHLWの処分問題は残る。
地層処分後のHLWの放射線レベルが自然界と同程度になるには約10万年かかる。安全性が懸念されるが、国民の関心が低いことも課題だ。
フィンランドでは40年以上前に選定スケジュールを策定し、賛否を含めた国民的議論を経て着実に進めてきた経緯がある。
HLWは使用済み燃料1トンから約1.25本のガラス固化体が生成され、国内総量は令和7年3月末時点で約2万7千本分相当になる。
国は最終処分場を地下300メートルより深い岩盤に埋め、数万年以上隔離する方針。立地選定は3段階だが、地元首長や知事の反対で次に進めない。
これまでに北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町が文献調査を受け入れ、国から最大20億円が交付された。国民全体での議論と責任が求められている。