
長期金利の上昇に伴い、日本学生支援機構の奨学金利率が急激に上昇し、物価高と相まって貸与を受けた若い世代の生活を圧迫している。今年5月の利率は上限に迫る2.9%と、5年前の10倍以上に達した。若者の経済的苦境は結婚や出産といった人生設計にも影響を及ぼし、社会全体の損失につながる恐れがある。
「借りたことに後悔はないが、ここまで金利が上がるとは思わなかった」と、この春に大学を卒業し東京都内の企業に入社した男性(25)は語る。月の手取りは約20万円で、社宅暮らしのため家賃は相場より安いが、10月からは月3万円超の返済が始まる。完済は20年後だ。
男性は沖縄県の公立高校を卒業後、受験費用などをためるために3年間働き、都内の大学に進学した。日本学生支援機構の奨学金のうち、返済不要の給付型は高校卒業後2年以内の人が対象のため利用できず、貸与型を使わざるを得なかった。
借入金利が低かった時期に奨学金を借りていたとしても、現在の利率上昇が将来の返済額を押し上げる仕組みだ。男性の場合、貸与額にもよるが、当初の想定より利息が100万円以上増える可能性があり、家計への打撃は深刻化している。
奨学金返済の長期化と物価高のダブルパンチは、若者の消費意欲を削ぎ、結婚や子育てへの前向きな姿勢をそぎかねない。専門家は「利率上昇の影響が顕在化する前に、貸与型から給付型への切り替えや返済負担軽減策の拡充が急務だ」と指摘している。