t>

山岳遭難の都道府県別ワースト10に、東京都、神奈川県、兵庫県という都市部の都府県が名を連ねています。いずれも3000メートル級の山々ではなく、日帰りで行ける身近な低山での遭難が目立ち、現場では「低山なら楽に登れる」という油断が事故につながっています。
首都圏では高尾山や奥多摩、丹沢、関西では六甲山や摩耶山など、手軽に登れる山々が広がります。都市近郊の山岳エリアはアクセスが良く、多くの登山者を集めますが、バスやロープウェイを使った観光登山と本格登山の境界があいまいで、装備や時間管理がおろそかになりやすいのが実情です。
警察庁の統計をみると、遭難の原因は「道迷い」と「滑落」が多くを占め、とりわけ下山時に事故が集中します。低山は樹林に覆われて視界が悪く、分岐点も多いため、地図やGPSを持たずに歩き始めた登山者が道を誤り、そのまま滑落するケースが後を絶ちません。
経験が十分にある中高年登山者ほど、短時間で登れる山に対し装備を簡略化しがちです。実際、単独登山の男性や、日帰り装備のまま安易に足を踏み入れた登山者の事故が多発しており、「以前登ったことがある」という記憶がかえって危険を過小評価させる原因になっていると専門家は指摘します。
身近な低山ほど、天候は急変しやすく、夜間の気温は急激に下がります。登山計画を登山届として提出し、ヘッドランプ、防寒着、雨具、行動食を必ず携帯すること。低山だからこそ、下調べと準備を徹底する必要があります。「今度の低山登山、準備は本当に十分ですか」と呼びかけたい。