
北海道・三陸沖後発地震注意情報の運用が続き、岩手県内でも緊張が高まる中、大槌町では大規模な山林火災が発生し、住民に大きな不安が広がっている。避難生活の長期化や生活リズムの乱れは、被災者に計り知れないストレスをもたらしている。心療内科医師で昭和女子大学客員教授の海原純子さんは、こうした状況下でのメンタルケアの重要性を指摘する。地震情報が重なり安心できない環境は、人々の精神を静かに蝕んでいく懸念がある。
海原さんは、今後懸念される症状として、不眠やイライラ、突然叫びたくなるなどの「急性ストレス反応」を挙げている。特に20日に発生した地震では大槌町でも震度4を観測しており、過去の津波の記憶がフラッシュバックするケースも想定される。「また、ひどいことが起こるのではないか」という不安や恐怖が増大することは、決して珍しいことではない。こうした心の動きは、過酷な状況に置かれた人間として自然な反応であると理解する必要がある。
精神的な疲れがたまっている人と接する際には、その状態を「異常なことではなく、誰にでも起こる自然な反応だ」と受け止めることがアドバイスされている。周囲の人間ができる最も大事なことは、「一緒にいますからね」などと積極的に声をかけることだという。また、感情を言葉にするのが難しい子どもたちに対しては、避難所で体を動かして遊ばせることが有効な手段となる。体を動かすことで鬱積した気持ちを発散させ、心の安定を図る狙いがある。
避難生活が続く中で健康を維持するためには、生活の基本である「睡眠」と「食事」に細心の注意を払うことが求められる。もし「眠れない」あるいは「食べられない」といった深刻な症状が現れた場合は、一人で我慢せずにすぐ医師に相談することが重要だ。また、極度の緊張状態を和らげるためには、身体からのアプローチも効果を発揮する。吸う息の倍の時間をかけて吐く鼻呼吸や、両手を上げて背伸びをした後に力を抜くストレッチは、場所を選ばず実践できる。
避難所の隅でマットを敷き、周囲の人と一緒に体を動かすことは、「一人ではない」という連帯感を生み、心の大きな支えになる。海原さんは、孤立を防ぐことが不安解消の決定打になると強調している。海原さんは「一人ではなく、誰かとつながっている意識が不安の解消になる。避難所では絶対に一人で抱え込まないでほしい」と、被災した人々へ寄り添うメッセージを寄せた。困難な時こそ、他者との結びつきを意識することが再生への第一歩となるだろう。