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熊本地震の被災地支援をめぐり、政府や自治体、警察、消防、医療、基幹インフラ、流通、NPO、ボランティアなど、多くの関係者が懸命の汗を流している。自衛隊もまた、その最前線を担っている。陸・海・空あわせて五千人以上が災害派遣に当たっており、被災地の生活を支える力になっている。
象徴的な動きが、エアコンの緊急輸送だ。航空自衛隊のC2輸送機は、地震翌日の7月29日午後、約300台のクーラーを積み込み、入間基地から熊本空港へ飛んだ。そこから、陸上自衛隊が避難所などへ輸送した。猛暑が続くなか、一刻も早く被災者を守ろうとする自衛隊の迅速な行動は、多くの人々に安心感を与えたことだろう。
世界からも、見舞いと連帯のメッセージが相次いでいる。アメリカのグラス駐日大使は被災者へのお見舞いを表明。フランスのマクロン大統領、イタリアのメローニ首相、韓国の李在明大統領も、Xで連帯やお見舞いの言葉を寄せた。台湾の頼清徳総統は「台湾と日本は苦難を共に乗り越えてきた真の友人だ」と投稿し、要請があれば4時間以内に救助隊を出発させる態勢を整えてくれた。
そんななか、気がかりな動きも見逃せない。地震前日の7月27日、中露海軍の艦艇4隻が、北海道と樺太(サハリン)の間の宗谷海峡を西進し、日本海へ向かった。防衛省統合幕僚監部が29日に公表したもので、この艦隊は同19日、沖ノ鳥島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)で実弾演習を行ったばかりだ。中国国防省は、艦隊が29日にウラジオストクに到着し、合同パトロールを終えたと発表している。熊本地震の対応に追われる自衛隊も、日本海で中露艦隊の動向を注視していたはずだ。
ウラジオストクに入港した中国のミサイル駆逐艦は、今後も日本海をうろつくことが懸念される。また、尖閣諸島周辺の領海外側の接続水域では、機関砲を搭載した中国海警局船4隻が依然として居座り続けている。
15年前の東日本大震災の際も、中露両軍の動きは活発化した。ロシア軍機が日本の防空識別圏に侵入するなどして、航空自衛隊は多数の緊急発進を強いられた。地震から半月後には、東シナ海で中国公船のヘリコプターが海上自衛隊の護衛艦に約90メートルまで異常接近する挑発行為も起きている。大災害時だからこそ、有事に備えた警戒監視が一層求められる。熊本の被災地はもちろん、その他の場所を含めて任務に当たっている自衛隊と海上保安庁の皆さんには、改めて頭が下がる思いだ。