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熊本県氷川町を襲った震度7の激震は、未来を歩み始めたばかりの16歳の命をあまりにも突然に奪った。同町に住む県立高校1年の平山愛琉(える)さん(16)は、自宅2階の自室で倒れているのが見つかり、その後に死亡が確認された。絵を描く仕事に就きたいと語っていた愛琉さん。今春から始まった高校生活にも慣れ、友人にも恵まれていたという。あまりに残酷な現実に、親族は「信じられない」「言葉にできない」と声を絞り出した。
地震が発生したのは7月28日午後4時半ごろ。愛琉さんは1人で自宅2階の部屋にいた。揺れが収まった後、反応がないことを不審に思った家族が部屋をのぞくと、愛琉さんは床に倒れていた。すでに呼吸はなく、家族はすぐに119番通報。間もなく病院に搬送されたが、数時間後に死亡が確認された。
死因は頚椎損傷だった。突然の揺れで体のバランスを崩して転倒し、首を強く打ったとみられるが、目立った外傷はなかったという。父親の勝久さん(48)は「まるで寝ているようだった」と静かに語り、朝に顔を合わせたのが最後となった我が子を思い、「ゆっくり休んでほしい」と亡き娘に呼び掛けた。
愛琉さんは今春、志望校に合格したばかりだった。高校生活の3年間で技術を磨き、いつか絵を描く仕事に就くという夢へ、ようやく第一歩を踏み出したところだった。地元の斎場で営まれた通夜と葬儀には、同級生や友人ら200人以上が参列。突然の別れに、多くの人が涙を流して愛琉さんを見送った。
参列した愛琉さんのいとこで高校3年の岩崎春花さん(18)は「愛琉は妹のような存在だった」と振り返る。2人は同じ幼稚園に通い、幼少期は仲良く遊ぶことが多かったという。地震が起きる数日前、春花さんは駅のホームで友人と談笑しながら電車を待つ愛琉さんの姿を目撃した。「高校生活を楽しんでいるみたいだったのに」と声を震わせる。春花さんの父親で、愛琉さんにとっておじにあたる宏是さん(47)は「人懐っこい子だった」と人柄を偲び、「これから楽しいことがたくさんあっただろうに……」と唇を噛んだ。