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ネットワーク上のデータを暗号化し身代金を要求する「ランサムウェア」の被害が各地で急増している。企業が管理する機密情報や顧客情報の漏洩リスクに加え、感染によって業務が長期停止に陥り、復旧費用として多額の損失を被るケースが後を絶たない。大企業の被害が目立ちがちだが、国内のランサムウェア被害のおよそ6割は中小企業が占めているという統計が専門家から示されている。
「お客さまのシステムは暗号化されました。機密情報をダウンロードしました。解除を希望する場合、支払いが必要です」――ある中小企業の社内パソコンに突然、英語でこうした脅迫文が表示された。社内ネットワークで管理していたすべてのファイルがアクセス不能になった。
今年3月、大阪市内の中小企業メーカーがランサムウェアに感染した。社内サーバーは電源以外のケーブルを即座に抜き取り、感染拡大を防ぐためにネットワークから隔離する緊急措置が取られた。
全社員への周知を試みたが、普段使っている社員向けメールやチャットは感染拡大の懸念から利用できなかった。各部署には幹部社員が直接出向き、口頭で状況説明を行った。
ランサム攻撃を仕掛けたハッカー集団は、仮想通貨での身代金支払いを要求。応じなければ機密情報を暴露すると脅迫した。同社は即座に個人情報保護委員会と大阪府警に被害を報告し、取引先や関係機関への連絡と謝罪対応に追われた。
幸い、社外に業務継続に必要なバックアップデータが保管されており、復旧の見通しは立ったものの、完全な回復には3カ月以上の時間を要した。
同社でシステムエンジニアとして勤務する30代の男性は「大企業や病院への被害はニュースで見ていたが、うちのような中小企業が標的になるとは思っていなかった」と述べ、ため息をついた。業務停滞中に複数の取引が頓挫し、推定損害額は数千万円に上っているという。
専門家は「事業規模に関係なく、すべての企業でランサムウェア対策が不可欠だ」と警告している。各企業はシステムのバックアップやソフトウェアの最新化などの対策を急ぐ必要がある。