
5月7日の地方選挙では、移民排斥を掲げるナイジェル・ファラージ下院議員率いる「リフォームUK」と、環境保護や人権問題に注力する「緑の党」という左右の新興ポピュリスト政党が大きく躍進した。両党の台頭は、従来の二大政党に代わる新たな選択肢を求める有権者の動きを鮮明に示している。
2024年の総選挙で圧勝したキア・スターマー首相率いる労働党と、野党の保守党はいずれも大幅に後退した。両党による伝統的な二大政党制の枠組みは崩壊の危機に直面しており、英国政治の基盤そのものが揺らぎつつある。
英国の政治思潮は歴史的に中道保守または穏健な現実主義が主流だった。そのため前回総選挙では、欧州連合離脱や度重なる不祥事で混乱を招いた保守党政権に見切りをつけた有権者が、中道路線を掲げるスターマー氏の労働党へと流れた。
スターマー氏の中道路線は、左派のジェレミー・コービン前党首が推進した社会民主主義的な政策を放棄し、経済界との協調や財政規律を重視する「ニュー・レーバー」への回帰を目指すものだ。これはトニー・ブレア元首相の路線を継承する試みと言える。
だが現実には、スターマー政権は財政規律に固執するあまり緊縮財政に傾き、国営医療保険制度などの公共サービスへの投資が停滞した。経済低迷や物価高も改善されず、生活水準の早期向上を期待した有権者の失望を招いている。