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あおり運転は傷害事件に近い行為であり、近年、被害者が加害車両に接触する事故が相次いでいる。しかし刑法や損害保険の専門家によれば、被害者が修理代を賠償する必要はないという見解が有力だ。
双方とも走行中の接触は過失割合が複雑になるため一旦置き、注目すべきは停止している加害車両に被害車両がぶつかる、いわゆる10対0のケースである。
2019年8月の常磐道のケースでは、あおり車が本線上に停止させられ、後ろにいた被害車のドライバーがブレーキを緩めクリープ状態で接触した。これを常磐道型ケースと呼ぶ。
同じころ北海道では、複数台のあおり車に前後を挟まれ、前方車がバックしてきたため後退した被害車が後方のあおり仲間車に接触する事例が発生した。こちらを北海道型ケースとする。
被害者の絶望感は察するに余りある。停止車両にぶつければ全面的に過失が問われるジューゼロの原則が適用されるからだ。
刑法専門家に聞くと、「判断がむずかしいケースだ」という。長期的にもめる可能性があり、被害者はげんなりする。
一縷の希望を求めて損保会社の人に質問した。ぶつけた被害車が悪いのか、弁償しなければならないのか。
回答は「弁護士によって見解が異なると思うが、訴訟になった場合、『被害車』側が『あおり車』の修理代を賠償することはあり得ないと思う」というものだった。
暗雲の隙間から一筋の光が差した。まさに待っていた回答である。
常磐道型ケースの場合、高速道路上で停止させる行為自体が大事故につながる不法行為であり、被害者がパニックで接触しても、発端があおり車側にあるため賠償責任は生じない。
北海道型ケースも同様に、事象の起点と終点があおり車側にあるため、被害車側に賠償責任はないとの見解だ。
ただし後方の車両が無関係な一般車両であれば、あおり車側と被害車側で一般車両に対する過失割合を計算する。過剰回避でなければ被害車側の過失は極めて低くなる。
常識はずれのあおり運転の報道の後、このような人間らしい常識的な回答に心からほっとする。
ただしこの判断を得るには、接触前後の行動や状況を損保会社や警察に正しく理解してもらう必要がある。
そのためドライブレコーダーはますます必須になる。常磐道ケースでは車内まで記録できるタイプが犯人逮捕に功を奏した。
7月のコラムで書いた通り、ドライブレコーダーを装着していてもSDカードの寿命が尽きていれば役に立たない。筆者の友人は半年前に寿命が切れていたという。
ドライブレコーダーとSDカードのセット、そして任意保険は、もしものときに身を守る現代の三種の神器(二種か)である。