
日本が世界文化遺産に推薦している「飛鳥・藤原の宮都(きゅうと)」について、政府は6日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関「イコモス」が「登録」を勧告したと明らかにした。イコモスは「人類の価値の重要な交流を示す」などと評価。7月に韓国・釜山(プサン)で開かれるユネスコ世界遺産委員会で「飛鳥・藤原の宮都」が世界遺産に登録されることがほぼ確実となった。
「飛鳥・藤原の宮都」は、奈良県明日香村と橿原市、桜井市にある宮殿・官衙(かんが)(役所)跡▽仏教寺院跡▽墳墓-の計19の遺跡で構成される。
いずれも、6世紀末期から8世紀初頭の飛鳥時代に築かれた。天皇の宮殿跡である飛鳥宮跡(明日香村)や藤原宮跡(橿原市)、高松塚古墳(同村)、石舞台古墳(同村)などが含まれ、貴重な考古学的遺産とされる。
政府は、東アジアの古代国家形成期に中央集権体制が誕生・成立した過程を2つの連続する時代の宮都の変遷から示せる-などと価値を訴えていた。松本洋平文部科学相は「貴重な文化遺産が国際的に高い評価を受けたことは大変喜ばしい。19件の構成資産全てが留保なく登録の評価を受けたのはほぼ満点といえる」との談話を発表した。
国の文化審議会が推薦候補に選んだ2024年9月の時点で、構成資産は22だった。「遺産の価値を直接的に示していない」との判断で、当初含んでいた大和三山(香具山(かぐやま)、畝傍山(うねびやま)、耳成山(みみなしやま))が除外。25年1月の推薦時に構成資産が19となった経緯がある。
ただ、イコモスは今回の勧告で、古代の人々が神聖視したとされる大和三山の存在は、藤原宮の位置を選ぶ過程で影響を及ぼしたと指摘。藤原宮跡と大和三山の視覚的な関係性に配慮するよう求めた。キトラ古墳(同村)や高松塚古墳から取り外された壁画を、元の場所に戻すための研究を継続することも求めている。
貴重な遺跡や生態系などを人類共通の財産として後世に伝えるため、世界遺産条約に基づきユネスコが登録する。文化、自然、複合の3種類があり、諮問機関が現地調査などを経て可否を勧告する。勧告には①登録②追加情報の提出を求める「情報照会」③登録延期④不登録―の4つがあり、今回は①となった。