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6両編成の「WEST EXPRESS 銀河」は、瑠璃紺(るりこん)色の車体で、美しい海や空を表現しているんだとか。かつてのブルートレインを思い起こさせ、ロゴマークも旅情を誘う。
グリーン個室・プレミアルームは、京都側先頭6号車にたった5室しかない。ドアが開き、一歩中に入ると、そこは別世界。廊下はゆるやかなV字形に曲がっており、高級ホテルのよう。個室に入ると、左手に1人掛けソファ、右手に夜はベッドになる2人掛けソファが配置され、広々とした2つの窓が、唯一無二感を演出する。
「当初はまったくの新造車で計画されたのが、それでは時間がかかりすぎるので117系の改造で落ち着いたようですよ」サンケイ君が蘊蓄(うんちく)を傾けるが、117系でよかった。JR東日本も来年、E657系を改造して夜行特急を復活させるが、「銀河」を凌駕(りょうが)できるか。今から東西対決が楽しみだ。
折角だからほかの車両も見てみよう。日頃は、歩くことなぞもってのほかだが、身体が自然と反応する。隣の5号車は「クシェット」と呼ばれる「ノビノビ座席」で、かつての2段寝台よりも明るく、開放感がある。
4号車は1両まるごとフリースペースで、4つのボックス席が設けられ、乗客は誰でも使える。イベントも随時行われており、この日は「出雲そばと日本酒」のセットを千円で販売していた。旨(うま)い釜揚げそばを食したばかりだが、もちろん買い求めた。ただ、肝心のお酒がほんのチョッピリで、サンケイ君も物足りなさそうな顔をしている。
松江駅で鳥取行きスーパーおき4号を先に行かせ、17時9分、ドジョウ掬いで有名な安来に着いた。サンケイ3号君とは違い、サンケイ君は安来節もドジョウ掬いも知っていた。これには深い訳がありそうだが聞かなかった。ここで22分停車。
駅の改札口へは跨線橋(こせんきょう)を渡らねばいけなかったので、プレミアルームで大人しくしていたが、サンケイ君は足取り軽く階段を駆け上り、「島根県産鯖(さば)しおから(骨ぬき)」とアイスキャンディーを入手してきた。
「塩辛なんて塩分摂(と)り過ぎになるだけじゃないの」とブツブツ言いながら舐(な)めてみると、もういけない。「鯖と天日と塩だけでつくった」と自慢するだけあって、脳天を直撃した。
これぞ、「しおから」だ。カップ酒が進む、進む。あまりに進み過ぎたせいか、酒の銘柄をさっぱり思い出せない。しおからに骨抜きにされてしまった。
昭和の昔を思い出す素朴なアイスキャンディーをペロペロしていると、もう米子を出発していた。伯備線に入ったところで、重大な事実に気がついてしまった。そのあれこれは、明日のこころだぁ!(コラムニスト 乾正人)