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ネーミングだけで商品が売れるわけではない。しかし、世界的ブランドには、その魅力を想起させるネーミングが欠かせない。では、成功するネーミングには共通の方程式が存在するのだろうか。
本稿では、クリエイティブ・ディレクターのレイ・イナモト氏(著書『Brand Shift「信頼」で選ばれる時代の成長戦略』)が、ナイキとアップルを例に、必然と偶然の狭間にあるネーミングの難しさを解説する。
ナイキは1964年に「ブルーリボンスポーツ」として創業。その後、社名変更の際、「フェニックス」「シックス」などの案が検討されたが、最終的にギリシャ神話の勝利の女神「ニケ」に由来する「ナイキ」が選ばれた。もし別の案が採用されていたら、今のブランド力はなかったかもしれない。
アップルも同様だ。スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックは当初「アップルコンピュータ」と名付けたが、その前には「エクセルテル」「ゼロックス」など複数の候補があった。ジョブズがリンゴ園で働いていた経験や、電話帳でアップルがアタリ(当時の人気ゲーム会社)より先に載ることなどが決め手となったとされる。
こうしたエピソードは、ネーミングが単なる偶然ではなく、創設者の経験や直感、さらには市場の反応を見極める必然の産物であることを物語る。成功するブランド名には、語感やイメージ、記憶に残りやすさなど、複合的な要素が絡み合っているのだ。