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令和8年上半期(1月~6月)の埼玉県内の企業倒産(負債総額1000万円以上)は、件数が194件(前年同期比12.2%減、27件減少)、負債総額も同17.2%減少となった。年次上半期の倒産件数は過去10年で3番目の水準だが、4年ぶりに減少に転じ、負債総額は過去10年で2番目に少ない水準と一見落ち着いているように見える。負債総額10億円以上の大型倒産は、前年上半期の4社から3社に減少し、うち2社は特別清算である。
倒産原因は圧倒的に「販売不振」が多く、全般的に小規模倒産が多かったため、負債総額の減少となったが、足下では中東情勢の影響が不透明さを残している。
東京商工リサーチ埼玉支店が6月に実施した埼玉県内企業アンケート(有効回答数262社)では中東情勢の資金繰りへの影響が「大いに与えている」9.1%、「少し与えている」13.7%で、合計22.9%の企業ですでに資金繰りに影響を受けている。さらに、「現状は資金繰りに影響を与えていないが、今後与えそうだ」と回答した企業が41.2%に達した。中東情勢は、すでに中小企業の資金繰りへの影響が出ていることが分かっており、中東情勢の悪化が長引くと、中小企業を中心に、資金繰りへの影響が危惧される状況だ。
さらに、ここにきて不安材料がある。令和8年7月6日に破産開始決定を受けたクレジットカード決済代行業者、全東信(大阪市中央区)の破綻だ。全東信は、関西屈指の繁華街であるミナミの飲食店が集まって設立した大阪南飲食業事業協同組合が前身で、信販会社との連携で、早期立て替え払いサービスが受け、業容を拡大。平成30年9月には加盟店は20万店以上に及び、毎月2000店以上のペースで新規契約を増やしてきた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、飲食店の休業などを受けて業績は悪化。さらに粉飾決算を重ね、金融機関は引き気味であったことが破産申立書で判明している。
同社の破綻を受け、加盟店である飲食店、小売店はカード決済ができないうえ、全東信が立て替えてきた売上が入金されず、倒産の増加が懸念されている。こうした事態を受け、経済産業省は7月10日に「セーフティネット保証1号」を発動した。セーフティネット保証は融資を受けやすくし、キャッシュフローの一時的な改善は見込まれるものの、焦げ付いた売掛債権の未回収が起きれば水の泡だ。
さらに借入は借入で、当然返さなければならず、不本意に導入した負債がたまれば結局は資金繰りに窮する。
コロナ関連融資が零細企業の一時的な助けにはなったものの、その後の倒産が懸念されるのと同じ構図だ。倒産は減少しているが、中東情勢、全東信の破綻に加え、長引く人手不足、物価高と今後の増加要因はくすぶっており、体力のない中小・零細企業を中心に、企業倒産は増勢ピッチが強まる可能性は多分にあるといえる。