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勝利への意志にあふれる先手の攻めだった。左足を痛めている安青錦は今場所、小さく跳ねるような立ち合いが多かったが、この日の豊昇龍戦は右からしっかり踏み込んだ。低く当たって得意の左前まわしを引くと、間髪入れず左から投げ。一発で決まらないとみるや、右まわしもがっちり取って、再び左から上手投げを放ち、土俵の中で横綱を豪快に転がした。
「体が勝手に動いてくれた。止まってしまうと、横綱はいろんな技を持っているので、どんな体勢でも自分から攻めようと心掛けていました」。前日に続く横綱連破で9勝目。1場所での大関復帰の条件である「10勝」に王手をかけた。
勝負審判として土俵下で取組を見届けた師匠の安治川親方(元関脇安美錦)は「痛みに耐えてよく頑張った。感動した」。平成13年夏場所に横綱貴乃花が右膝を負傷しながら優勝を果たした際、小泉純一郎首相が発した名台詞(せりふ)を引き合いに弟子をたたえた。「変化とかいろんな選択肢があると思うけど、選んでいない」と、その精神性にも目を見張る。
先場所休場の原因となった左足首に不安を抱える安青錦は、8日目に左足親指付近も負傷した。本人は「痛い」と言わないが、取組後は左足を引きずり、親指付近は、かなり腫れている。「体は動いているし、内容としても自分の相撲が取れている感じがする。残りもこの調子で頑張れたら」。
手負いの22歳は、大関の座と自身3度目の賜杯を手にすることができるか。(宝田将志)