
米司法省は24日、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長に対する捜査を終結させると明らかにした。パウエル氏の任期満了が5月15日に迫る中、一連の捜査は「FRBへの政治圧力」とみなされ、後任人事の大きな障壁となっていた。今回の決定により、次期議長に指名されたウォーシュ氏の就任に向けた議会の承認手続きが進展する可能性が高まっている。
首都ワシントンのピロ連邦検事は24日、X(旧ツイッター)への投稿でこの方針を表明した。司法省はFRB本部ビルの改修工事を巡り、パウエル氏が過去に虚偽の議会証言を行った疑いがあるとして捜査を進めていたが、今後はFRBの監察機関に調査を委ねるという。ただ、ピロ氏は必要があれば「捜査再開をためらわない」とも記しており、含みを持たせた決着となった。
FRB議長の就任には上院での承認が必要となるが、これまでは捜査の継続が承認手続きの停滞を招いていた。FRBの独立性を重視する共和党の一部議員が、捜査が行われている間は人事承認に反対する姿勢を鮮明にしていたためだ。上院は与野党の議席が拮抗しており、今回の司法当局の判断を受けて、これら議員が態度を見直すかどうかが今後の焦点となる。
FRBを巡っては、トランプ米大統領が大幅な利下げを公然と要求し、慎重姿勢を崩さないパウエル氏と長らく対立してきた経緯がある。こうした緊張関係の中で現職議長への前例のない捜査が表面化したことで、政治的な意図を疑う声も上がっていた。パウエル氏は1月に「政権による脅迫と継続的な圧力」だと批判するビデオ声明を公表し、徹底抗戦の構えを示していた。
連邦地裁は3月、司法省側が「パウエル氏を犯罪の容疑者とする証拠を実質的に一切提示していない」などとして、捜査に向けた召喚状を無効と判断していた。その後もピロ氏は捜査を継続する考えを示していたが、ウォーシュ氏の早期就任が政権内で優先され、最終的に方針を転換した可能性がある。捜査の終結は、混迷を極めたFRB人事の正常化に向けた一歩となりそうだ。