
トランプ米政権は6日、米国に対するテロの脅威に関する認識と対策を示す「国家対テロ戦略」を公表した。この戦略では、イラン、中国、ロシアが麻薬カルテルやイスラム過激派にドローン(無人機)などの新兵器技術を提供していると指摘し、監視を強化する姿勢を示した。
国家対テロ戦略はトランプ米大統領が署名した。2月末に始まったイランとの交戦を反映し、イランによるテロの脅威を強調する内容が際立った。戦略は「中東地域から米国に及ぼされる最大の脅威はイランからのものだ」と指摘し、米国人や米国本土を狙ったテロ攻撃を計画するイラン当局に対し、断固とした措置をとるとした。
また、昨年末に発表された国家安全保障戦略で南北米大陸を中心とした西半球に力点を置いたことを受け、国家対テロ戦略でも西半球重視を鮮明にした。中南米の麻薬カルテルによる違法薬物の流入をテロと位置付け、カリブ海などにおける「麻薬運搬船」の撃沈を含む対策を強化していると説明した。
一方、戦略では麻薬カルテル、イスラム過激派と並び、米国内の極左運動「アンティファ(反ファシスト)」を含む極左暴力集団を主要なテロの脅威と位置付け、「現実の脅威が見過ごされたり軽視されたりしてきた」とした。
トランプ氏は昨年9月、アンティファを「国内テロ組織」に指定する大統領令に署名。射殺された保守系活動家チャーリー・カーク氏の追悼式典では「暴力の大半は左派がもたらす」と語っていた。
米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は昨年1~7月に発生したテロのうち、極左による犯行が40%超を占め、「極左テロリストによる攻撃が極右の暴力を上回ったのは、ここ30年以上で初めて」とする報告書をまとめている。ただ、極右のテロが減少したのは一時的なもので、極左、極右双方への対策が必要だとした。