
生成AI技術の急速な進展が、スポーツ界に深刻な影を落としている。中学生や高校生を含む多数の女子陸上選手が、自身の競技写真を性的に加工される「性的ディープフェイク」の被害に遭っていることが明らかになった。悪質な画像や動画は、特定の個人が集うオンラインコミュニティー上で大量に投稿・共有されている。この事態を重く見たスポーツ庁や体育連盟側は、被害の実態把握と対策に向けた検討を本格化させている。
膨大な被害画像が確認されたのは、招待制のチャットアプリ内に作られた閉鎖的なコミュニティーだ。そこでは参加者たちが生成AIを駆使し、選手のユニホーム姿を裸や性的行為をしているかのように作り替えた画像を次々と投稿している。一連の投稿は今年1月頃から活発化しており、4月下旬を過ぎてもその勢いは衰えていない。被害は大学生のみならず、将来有望な10代の若手選手たちにまで広く及んでいる。
加工の対象となっているのは、主に競技場でスタートを待つ緊張の瞬間や、全力で疾走している最中の写真だ。表彰式で誇らしげに賞状を手にしている場面までが標的にされ、見るに堪えない加工が施されている。ユニホームのデザインや賞状の内容から、学校名や個人名が容易に特定できるケースも少なくない。デジタル技術の悪用により、アスリートとしての尊厳が著しく踏みにじられている。
コミュニティー内では、特定の選手を狙い撃ちにした悪質なやり取りも日常化している。投稿には「○○さんを集めてみました」といった個人の名前を明記した文言が添えられ、それに対して参加者が称賛や同調のコメントを寄せる光景が広がっている。さらに、第三者に対して特定の選手の性的加工を依頼する書き込みも見受けられる。4月23日の時点で参加者は800人近くに達しており、極めて不健全な温床となっている。
今回確認されただけでも、問題の画像は350枚を超え、被害を受けた選手は延べ500人以上に上るとみられる。インターネット上の匿名性に隠れたこうした行為は、選手の精神的な健康を脅かすだけでなく、競技継続を断念させかねない重大な人権侵害だ。スポーツ庁は関係団体と連携し、法的措置を含めた実効性のある対策を急いでいる。健全なスポーツ環境を守るため、社会全体での厳格な監視と法整備の議論が求められている。