t>

レアメタル(希少金属)の一つ、タングステン価格が1年で6倍超に高騰し、非鉄金属各社が価格改定を余儀なくされている。中国政府による軍民両用(デュアルユース)品の対日輸出規制強化などを背景に需給が逼迫しているためで「中国からの輸入が完全にストップした」(住友電気工業の井上治社長)との悲鳴が上がる。安定調達へ向け、各社はリサイクル体制の強化を急ぐ。
住友電工は7日、10月1日受注分から切削工具類などを最大25%以上値上げする価格改定(一部は値下げ)を発表した。6月にも大幅値上げしたばかりで、同社は「想定を上回る相場高騰の長期化が見込まれ現行価格の維持が困難と判断」と説明している。
このほか切削工具メーカーのオーエスジーはタングステン製のドリル(標準品)について最大75%の価格改定を7月1日受注分から実施。三菱マテリアルも超硬素材を3倍以上値上げした。
タングステンは硬度・耐熱性に優れた金属で、切削工具や電子部品など幅広い産業の基盤を支える。中国政府は輸出規制の対象を段階的に拡大しており、調達難が長期化すれば自動車や半導体など多くの製造業の生産活動に影響が出る可能性がある。
安定調達へ向け、各社はリサイクル体制の強化を急ぐ。使用済みの切削工具などからタングステンを回収し、再び原料として使う取り組みを拡大。中国由来の供給への依存度を下げ、価格変動の影響を緩和する狙いだ。