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高層ビルが立ち並ぶ日本屈指のオフィス街、東京・大手町。その一角にある星野リゾート運営の和風高級旅館「星のや東京」では、玄関でスタッフの長谷川梨奈さん(32)が柔らかな声とともにもてなしを始める。
履物の預かり、客室への案内、ラウンジでの茶の手前、食事の配膳、フロント業務、客室清掃――長谷川さんの仕事は多岐にわたる。「1年かけて仕事を体得します」と語る。
海外の大手ホテルチェーンでは業務が明確に分担されているが、星野リゾートでは約30年前から一人が横断的に業務をこなす「マルチタスク」を導入。人員を流動的に配置し、シフトを柔軟に組むことが可能だ。
背景には、海外進出も見据えた競争力強化の狙いがある。客の要求に機械的に応えるのではなく、創造的なサービスを提供するには旅館の女将のように業務全体を把握するスタッフの育成が欠かせないと判断した。
総支配人の池上真敬さん(46)は「(マルチタスクにより)新たなサービスを提案できる人材が育つ」と指摘。茶道の「主客対等」のように、もてなす側ともてなされる側が尊重し合い、非日常の体験を共創する。人手依存から脱却し、効率と品質を両立する「おもてなし」の姿がここにある。