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「ジムニー ノマド」の報道陣向け試乗会が、静岡と山梨の県境の地で行われた。その走りをレポートする前に、同車の受注方法に関する課題に触れないわけにはいかない。というのも、このクルマは発表直後から想定をはるかに超える注文が殺到し、スズキの生産体制に大きな影響を与えているからだ。
実際、ノマドはフルモデルチェンジ級の注目を集め、公式発表からわずか数日で一部グレードの受注停止に追い込まれた。販売店には購入希望者からの問い合わせが殺到し、中には転売目的とみられる動きもSNS上で確認されている。本来ユーザーが手にすべきクルマが、市場の過熱によって届きにくくなっている現実がある。
さらに気になるのは、「ノマド」という名前とキャラクターの独り歩きだ。ジムニーといえば本格オフロード車としての実用性と冒険心が魅力だが、ノマドに寄せられる注目は「手に入りにくい希少な新型車」という側面に集中している。開発陣が込めた「遊牧民のように自由に移動する」という本来のコンセプトが、市場の熱気に覆い隠されつつある。
試乗会で確認できたノマドの実力は、そうしたノイズを吹き飛ばすものだった。ホイールベースの延長により後席の居住性と荷室容量が拡大し、長距離移動の快適性は従来モデルから明確に進化している。未舗装路での走行でも、安定したボディ制御と頼もしい悪路走破性を示し、「遊牧民」の名に恥じないパフォーマンスを発揮していた。
スズキは生産体制の強化を急ぐ方針を示しているものの、納期の正常化にはなお時間がかかるとみられる。ジムニー ノマドが名実ともに「遊牧民」として多くのオーナーの相棒となり、そのキャラクターが健全な形で育っていくのか。スズキの供給力と情報発信の巧拙が、この人気車の行方を左右することになりそうだ。