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スーパーコンピューター「富岳(ふがく)」は、前身の「京(けい)」とは異なり、計算速度の追求よりも利用者の使いやすさに重点を置いた設計を採用。社会に変革をもたらす科学研究の成果創出を目指している。
富岳では、防災やエネルギー、産業競争力の強化など9つの重点分野の研究に適したソフトウエアが、京の約100倍の速度で動く性能を目標とする。京で1年かかる問題が数日で解けると期待され、ビッグデータや人工知能(AI)など重要度が増す分野にも対応する。
米中などは1秒間に100京回(京は1兆の1万倍)の計算が可能なスパコン開発競争を繰り広げている。富岳は計算速度の世界ランキングで現在首位の米国機よりはるかに速いが、単純計算では100京回に達しない。来年にも中国が100京回級を実現するとの見方もあり、富岳が世界一になれない可能性もある。
しかし、富岳の真の目標は速度競争ではなく、多くの人が利用できるスパコンの実現だ。京は専用プログラムの作成が必要だったため、高い技術力を持つ大企業などに利用者が限られる傾向があった。この反省を踏まえ、富岳は既存のソフトも使えるように門戸を広げ、利用者に研究そのものに注力してもらう狙いだ。
さらに、京の100倍の性能を約3倍の消費電力で実現する省エネ性も追求。同じ演算装置を使った試作機は先月、スパコンの省エネ性能で世界首位を獲得している。