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三菱商事の生活関連部門「S・L・C・グループ」が2026年4月で発足から3年目を迎える。ローソンやライフコーポレーションといった生活者に身近な企業を束ねる部門として始まり、「食」「健康」「コンテンツ」を3本柱に据える。傘下企業が持つ膨大な顧客情報を活用し、生活者のニーズに応える最適なサービスの開発に力を入れてきた。昨秋には食品卸大手の三菱食品を完全子会社化し、食品流通基盤も強化。目標とする「31年3月期に利益1千億円」が視野に入る。今後の展望を部門トップの近藤祥太常務執行役員に聞いた。
近藤常務は「だれもがスマートフォンを手に持ち、個人が自由にモノやサービスを選べる時代になっている。選択権が完全に生活者側に移行しているため、ニーズが非常に多様化している。ニーズは生活者の数だけあり、掘り起こせば掘り起こすほど、これまでなかったモノの販売やサービスの提供といった新しいビジネスをつくりだせると考えているからだ。S・L・C・(スマート・ライフ・クリエーション)は、生活者とともに価値を創造し便利で質の高い暮らしをつくることにこだわる部門だと思ってほしい」と語る。
続けて「その通りだ。何が売れ、何が受け入れられるかを知るためには生活者の実態を的確に捉え、徹底したマーケティングを行う必要がある。そして、取得したデータを活用し、サービスとして実現するには、デジタルや金融、物流といった機能も必要になってくる。世の中の流れを踏まえ、生活関連で新しいビジネスが芽生えつつあると手応えがあったからこそ、拡充のため2年前にデジタルや金融などを組み入れ一つに束ねた。社内では『C2B』というフレーズを用い、生活者を起点に物事を考えるよう呼び掛け、リアルとデジタルを掛け合わせて事業推進している。もともと生活者向けの領域は、三菱商事の中でも景気や市況に大きく左右されない比較的安定した収益基盤を持つ。利点を生かし、さらなる価値の創出に取り組んでいきたい」と説明した。
収益面については「小売り、食品流通、金融事業が収益の柱となっている。企業ではローソンや三菱食品、金融分野の三菱HCキャピタルのリース事業などが収益面で貢献している。海外でもいろいろ挑戦しており、シンガポールを拠点に東南アジアで最大手の医療費保険関連サービス会社やフィリピンの決済・金融サービス会社に出資参画した。食の安定供給を担う三菱食品は連携を強化するため100%子会社化を実行した。わたし自身がエネルギービジネスに長く携わってきたことから、安定供給に対する思いが強い。企業の究極の目的は存続することであり、そのためには社会に対して価値を提供し続ける必要がある。その観点からも、引き続き国内における食品の安定供給を確実に維持していきたい」と話す。
今後の成長地域について「決してこの地域に限っているわけではないが、生活者ビジネスを伸ばしていくためには、人口が増え、それに伴いGDP(国内総生産)が上昇していくところを見ていかないといけない。加えて北米。食と健康、さらにコンテンツにも注力したい」と述べた。
コンテンツの捉え方については「コンテンツには広い意味があり、政府が海外で成長を見込む日本の漫画やアニメだけでなく、和食文化も海外で通用する優れたコンテンツと捉えている」と語った。
求める人材像については「生活関連ビジネスは非常に複雑。顧客ニーズも景気に左右されやすく、移ろいやすい。好奇心旺盛で世の中の動きや顧客ニーズの変化に敏感な『人財』が望ましい」と答えた。(佐藤克史)
こんどう・しょうた 早稲田大学商学部卒。1991年三菱商事入社。カナダ石油天然ガス事業部長、天然ガスグループCEOオフィス室長などを経て2021年執行役員。2024年4月から常務執行役員S.L.C.グループCEO。58歳。東京都出身。