t>

自民党と日本維新の会が提出し、24日に成立した「副首都」構想関連法を巡り、審議を通じて野党側から災害リスクや財政コストに関する疑問や問題点の指摘が相次いだ。副首都の指定手続きについて客観性と透明性の確保を求める付帯決議が採択され、具体的な制度設計を前に課題が山積している。
24日の参院本会議に先立ち開かれた参院沖縄北方・地方特別委員会で、立憲民主党の鬼木誠氏は語気を強めた。22日からの参院審議で批判が集中したのは、災害リスクの考え方だ。
副首都関連法は、首都直下地震と富士山噴火を想定し、東京圏と同時被災のリスクが低いことを指定要件の一つにしている。一方、南海トラフ巨大地震は考慮されておらず、与党の法案提出者は「東京圏で首都中枢機能の維持が困難になる被害は想定されていない」と答弁した。
これに対し野党側は、大地震の後に富士山が噴火した事例を踏まえ、東京と大阪の同時被災リスクをただした。また国民民主党の山田吉彦氏は、南海トラフ地震で情報通信インフラの海底ケーブルが破断する恐れがあるとして、副首都の指定で「太平洋側の地域は避けるべきだ」と主張した。
政府は法施行から1年以内に副首都機能などを定めた基本方針を策定。道府県からの申し出に基づき首相が副首都を指定し、副首都ごとに整備方針を作成する。法案提出者の説明によると、早期に指定できるよう基本方針の策定前に道府県が申し出をすることが想定されている。
野党は「本末転倒だ」「複数の副首都間で役割分担が決まらない」と問題視。法案提出者の一人である自民の簗和生(やな・かずお)衆院議員は「指定要件の政令を定めたら、速やかに副首都の方向性を示すよう政府に働きかけたい」と述べた。
野党側は、副首都整備にかかるコストや財源の見通しが示されていない点も追及した。与党側は、複数指定の場合も「国の行政機関や経済の集積があれば、既存のリソース(資源)を活用し、整備費用を縮減できる」と説明。東京被災時の災害対策拠点整備費用として数十億~数百億円を見込む試算を示したが、全体のコストは明らかにされなかった。
野党からは審議時間が不十分との批判が続出。付帯決議では、政府に対し、特定の道府県を前提とせず複数の副首都を指定▷法施行後速やかに基本方針の考え方などを策定▷首都直下地震や南海トラフ地震などに幅広く備える観点から専門的知見に基づき指定のための客観的基準を検討――といった注文を付けた。識者の見解として「東京一極集中の是正につながる」「維新の意向を反映」との声も上がった。