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物価高騰や原材料費の高止まりが続く中、弁当業界では倒産が相次いでいる。そんな逆境にあって、塚田農場が運営する「塚田農場おべんとラボ」は注文数を伸ばし続け、価格も主力商品の990円を据え置いたままだ。競合が値上げに走るなか、なぜそれが可能なのか。その秘密は10年前のある大胆な決断に遡る。
コロナ禍で主力の居酒屋事業が大きく落ち込んだ塚田農場。しかし、逆風下で急成長したのが弁当事業だった。テイクアウト需要の拡大を捉え、工場生産ではなく店舗の厨房で手作りするスタイルを徹底。手間ひまかけた弁当がリピーターを生み、コロナ禍後も右肩上がりの成長を続けている。
この成長を支えるのが、10年前に下した「生産の内製化」という決断だ。かつては外部委託していた主要食材の仕入れを自社農場や協力農家との直接契約に切り替え、安定的かつ低コストで高品質な素材を確保できる体制を築いた。この判断が、後の価格据え置き戦略の基盤となっている。
味と手作りへのこだわりは現場にも浸透する。各店舗では注文を受けてから調理を始め、一食ごとに丁寧に仕上げる。冷凍技術や保存料に頼らないため、賞味期限は短いが、その分「できたての味」が強みだ。社員教育でも衛生管理と同時に調理の基本を叩き込むことで、品質のばらつきを抑えている。
値上げ圧力が強まるなかで、塚田農場は990円の価格帯を死守する方針だ。内製化によるコスト削減と、日々のオペレーション効率化で利益を捻出。経営陣は「低価格と高品質の両立こそがブランドの根幹」と語る。今後も生産体制をさらに強化し、全国展開を視野に入れるという。