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ヤフーは2012年の宮坂学社長体制のもと、スマートフォン対応への本格的なシフトを開始した。この間、国内ポータルサイトとしては確固たる地位を築いていたが、電子商取引(EC)分野では、米アマゾンや楽天に大きく差をつけられていた。
生鮮食品から家電まで、あらゆる商品がパソコンやスマートフォン一台で玄関先に届く。インターネットによって社会を物理的に変えたのが、ECというビジネスモデルである。当時、個人間取引(CtoC)の「Yahoo!オークション」は健闘していたものの、ECサイト「Yahoo!ショッピング」は完全に両社の後塵を拝していた。ヤフーは広告事業が順調であったため、ECに本腰を入れて取り組めずにいたのだ。
親会社であるソフトバンクの孫正義社長は、Yahoo!ショッピングの話題になると、決まって「これ、どうにかしないの?」と切り出す。私が返答に窮していると、さらに「いつ日本一になるのか」「どうやってなるのか」と追い打ちをかけてきた。こうしたやり取りは、私が会長を退任するまで延々と続いた。
というのも、かつてアマゾンが日本市場に進出する際、ソフトバンクとの合弁事業を立ち上げる構想があったからだ。ところが、孫氏が当時ヤフー社長だった井上雅博氏に相談したところ、「ECは当社でも手掛けているので、組む必要はありません」と言われ、結局、両社が協業することはなかった。
このような状況の中、ヤフーはEC事業のテコ入れを迫られ、最終的にZOZOの買収に至る。買収されたZOZOの創業者、前澤友作氏は「新しいことをやる」と語り、自らはAI起業家として新たな道を歩み始めている。