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日米通貨政策への思惑から、ドル円相場で急激な円高が進んだ。日米当局による協調介入は、2011年3月の東日本大震災時に1ドル75円台までの超円高が進んだ時以来、15年ぶりの出来事である。市場関係者の間では「今回は単なる投機警戒ではなく、米国側の明確な意志が感じられる」との声が上がる。
今年1月の共同レートチェック騒動の際にも本欄への寄稿「1ドル160円が遠のいた「日米協調で円安修正」というナラティブは賞味期限いつまで?2024年と違いアメリカは利下げ終盤、円売り投機に過熱感なし」で議論したが、日米通貨政策が同じ方向で足並みを揃えるのであれば、非常に高い確率で円高は実現する。実際、過去の協調介入事例を振り返っても、日米が共同で市場に介入した局面では、短期的なトレンド反転がほぼ確実に起きてきた。
そもそも変動為替相場制の歴史自体、アメリカの行きたい方向感や水準感が重視されてきたという経緯がある。プラザ合意以降、主要通貨の動きを主導してきたのは常に米財務省の政策判断であり、その意味でドル円相場は「米国の意向を映す鏡」とも言える。これが続く限りにおいて、金利や需給といったファンダメンタルズ分析は脇に置かざるを得ない。そもそも需給の変容自体を作り出すことができるのがアメリカである。
米通貨当局が円安是正に持続的な協力を惜しまないと仮定すれば、ゲームチェンジャーにはなるだろう(あくまで持続的であることが重要である)。一時的な介入では市場の記憶からすぐに薄れるが、もし米国が複数回にわたって円買い・ドル売りに参加する姿勢を明確に示せば、ヘッジファンドの円売りポジションは一層縮小せざるを得ない。それにしても、そこまでアメリカがする理由はどこにあるのか。「ただより高いものはない」わけで、その理由は知っておく必要がある。
米財務省が本当に心配しているのは、単なる円安水準ではなく、長期金利の上昇が米国経済に及ぼす悪影響や、ドルの信認低下につながる潜在的なリスクである。同盟国である日本の通貨当局との協調は、見せかけの「同盟の賜物」ではなく、自国の金融市場の安定を守るための現実的な選択とみるべきだ。円高の持続力を左右する鍵は、結局のところ米国のインフレ動向と財政政策にかかっている。