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がん治療の最前線で存在感を高める第一三共が、抗がん剤メーカーとして世界トップ5入りを目指す「全振り戦略」を今年5月に打ち出した。看板製品の抗体薬物複合体(ADC)「エンハーツ」の成功を土台に、次の成長軸をどう築くのか。
同社はエンハーツで乳がんや胃がんなど複数のがん種にわたって治療実績を積み、ADC分野のリーダーとして評価を確立してきた。収益拡大のスピードは市場の想定を上回り、その勢いを背景に経営陣は研究開発への資源集中をさらに強めている。
しかし、世界トップ5入りという目標を実現するには「経営力」という課題が横たわる。研究開発の成果を事業全体の成長へつなげるには、提携戦略や知的財産の管理、後発品や将来の競合との競争への備えなど、乗り越えるべきハードルは少なくない。
市場が注目する「エンハーツの次」は、新たなADC候補や併用療法の開発動向、複数のがん種への適応拡大の行方にかかっている。カギを握るのは、パイプラインの進捗と、それを支える経営基盤の整備だ。
経営陣は「一流の研究力」を持ちながら、それを最大限に生かす組織運営や資本政策、事業ポートフォリオの構築に対応できるのか。今後のXデーを見極めるうえで、第一三共の進退を左右する正念場が続く。