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高市早苗首相が前回の衆議院選挙で「悲願」として掲げた食料品の消費減税が実現に向けて動き出した。レジシステム改修などに必要な時間を考慮し、税率をゼロではなく来年4月から2年間限定で1%とする案が浮上している。さらに中低所得者には1%分の税収相当額を給付し、「実質ゼロ」とする方針だ。
減税と給付を合わせた財政負担は5兆円を超える見込みだ。減税の対象外となる外食産業や、仕入れにかかる消費税負担が残り収入減が懸念される農家への補助金も別途必要となる。農家への支援額は3800億円余りに達するとの試算もある。
経済効果については不透明感が強い。減税で食料品需要が増えても、供給が追いつかなければ課税前価格が上昇し、減税の恩恵が十分に消費者に届かない可能性が高い。人件費や原材料価格の上昇が続くインフレ局面では、減税効果は一時的なものにとどまるとみられる。
財政悪化への懸念から国債金利の上昇や円安がさらに進むリスクもある。かつて積極財政論者として知られたアメリカの経済学者ブランシャール氏も、3月の経済財政諮問会議で短期的な消費税減税に消極的な見解を示し、「今はそういう状況ではない」と述べた。
ブランシャール氏が考えを変えたわけではなく、日本経済の前提条件がコロナ禍後に大きく変化したためだ。デフレからインフレへ、需要不足から人手不足などを背景とする供給制約へと移行しており、かつての論理がそのまま通用しなくなっている。