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静岡県の鈴木康友知事がリニア中央新幹線静岡工区の着工容認を表明する見通しとなった。川勝平太前知事は南アルプスのトンネル工事により大井川の水資源や生態系への影響を懸念し着工を認めず、事態は長期にわたり膠着していた。しかし令和6年5月に知事が鈴木氏に交代すると、対立から協調へと潮目が大きく変わり、工事実現への動きが前進した。
鈴木知事は1日、JR東海の丹羽俊介社長との面会後に記者団に対してこう語った。「JR東海と県がしっかり連携しているという姿勢が大事だと思った」。同社が5~6月に計22回開催した住民説明会には、県の担当者も全回同席し、密接な協力関係が背景にあることを示した。
静岡工区を巡る最大の論点は、トンネル工事に伴う大井川の水資源への影響である。平成25年にJR東海が公表した試算では、何ら対策を取らなければ工事により大井川の流量が毎秒2トン減少する可能性が示された。これに対し当時の川勝知事は激しく反発し、大井川を流域の「命の水」と位置づけ、JR東海の対策は不十分だと繰り返し主張してきた。
JR東海はその後、水資源への影響を最小限に抑えるための技術的対策を複数提案し、住民説明会や環境モニタリングを強化。鈴木知事はこれらの取り組みを評価し、科学的根拠に基づく判断が下されたとみられる。県とJR東海は今後も環境保全策の実施状況を定期的に検証する方針だ。
リニア中央新幹線の全線開通は当初目標の2027年から遅れが見込まれるが、静岡工区の着工が実現すれば大幅な進展となる。鈴木知事の容認表明を受け、JR東海は早期の着工準備を加速させる考えであり、地元自治体や住民との対話を継続しながら工事を進める方針を示している。