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試乗車には、今年3月に登場した新型『トナーレ』から設定されたボディ色“モンツァグリーン”が採用されていた。深みのある青緑を見て、「60年代のジュリア系のクーペやベルリーナにもこの系統の色があったな」と筆者は懐かしさを覚えた。
新型ではフェイスリフトもポイントだ。従来型をベースとしつつ、『ジュニア』ほどアグレッシブではないが、スクデット(盾型グリル)内部の横桟中央を奥に凹ませた意匠は、2024年に復活した現代版『33ストラダーレ』に倣っている。横桟が8本という点も同じである。
細かな点だが、スクデットを囲む4つの空気孔が独自の形状をしており、初期の『アルファ156』が採用していたクラシカルな“長円”に比べると、“緩”の部分が増え、マスク全体の賑やかさが抑制された印象を与える、と筆者は感じた。
一方、室内は現代的なデザインで仕上げられている。シフト操作はセンターコンソールのダイヤルを掴んで左右に捻る方式だ。シフト近くには“dna”を切り替えるドライブモードセレクターが配置され、ステアリングには回転方向にたっぷりとサイズを取ったパドルスイッチも備わる。
インフォテイメント用の10.25インチタッチスクリーンも置かれ、すっかり現代的な雰囲気。その中で、ベテランのアルフィスタなら「おぉ!」と静かに小躍りするのが、眼前の12.3インチ大型デジタルクラスターメーターに描かれるメーターのグラフィックである。
スピード/タコメーターともに、盤面の意匠や放射状に配置された数字と書体、指針の形状、赤いゼブラゾーンの表示など、60年代のアルファロメオの運転席にタイムスリップしたかのような趣がある。
後席も改めて座ってみると、実用上十分なスペースを確保している。やや起きたシートバックと高めの座面は走行中の姿勢保持に役立ち、座面前後長にゆとりがある。そのため、中型犬としては大柄な筆者宅の柴犬シュンも“フセ”の姿勢で落ち着いて乗っていられるようだ。
走りについては、SUVに乗っていることを忘れさせる、近年のコンパクト系アルファロメオの世界観そのもの。迷いのないステアリングの反応、しなやかでありながら常に安定感を保つコーナリング姿勢など、走る楽しさを存分に味わわせてくれる。
装着タイヤはピレリ・スコーピオン(235/40 R20 96V、指定内圧前2.4または2.9、後ろ2.2または2.7kPa)。クルマのシャシー性能と完全に一体となった仕事ぶりも印象的だ。
イブリダが搭載する48Vマイルドハイブリッドシステムは、117kW(160ps)/240Nm(24.5kgm)を発生し、7速デュアルクラッチトランスミッションと組み合わされる。実際の走りでは場面を問わず不都合はなく、高回転まで気持ちよく伸びるパワーフィールが存分に味わえる。
■5つ星評価:パッケージング:★★★★★、インテリア/居住性:★★★★★、パワーソース:★★★★★、フットワーク:★★★★★、オススメ度:★★★★★
文:島崎七生人(AJAJ会員/モータージャーナリスト)。1958年東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経て、1991年よりフリーランス。自動車専門誌やウェブなどで執筆活動を展開。一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。