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ホンダ『フィット』のオーナー、福田さん。その車内で鳴る音は、純正の域をはるかに超えた。フランスの名門ブランド、フォーカルの「K2パワーM」シリーズを3ウェイで構成。イヤホンで培った緻密な音へのこだわりを、カーオーディオの世界に落とし込んだ一台だ。
福田さんのカーオーディオとの本格的な付き合いは、プロショップ「custom&car Audio PARADA」でのシステムアップから始まった。ショップのスタッフやオーディオ仲間と相談し、まずは純正スピーカーのままDSPアンプを追加するという、いわば“第一歩”を踏み出したのだ。
「でも、いったんこの音を経験したら、次はスピーカー交換をするつもりでした。すぐに選び始めましたよ。ショップやメーカーのデモカー、いろいろなクルマで音を聴いて、自分の好みを探したんです」
こう語る福田さんは、やがて自分が求める音の方向性を掴み始める。「どうやら僕は、オールマイティに聴けるスピーカーが好みだと気づきました。ノリの良い曲も、しっとりとしたバラードも、きれいな音でバランスよく楽しみたかったんです」と振り返る。
同時に、システムは最初から「3ウェイ」と決めていた。理由は明確だ。「マルチドライバーの音の良さは、イヤホンで体験済みでした。カーオーディオでも2ウェイより3ウェイを選ぶと決めていました」という強い意志があった。選んだのは、ショップのデモカーにも使われていたフォーカルK2パワーMの3ウェイだ。取り付けた瞬間、音は劇的に変わった。
「特に低音の質感が大きく向上しました。高域の伸びも気持ちいい。輪郭がぼやけていた純正スピーカーとは比べ物にならないほど、くっきりとしたサウンドになりました」と福田さんはその変化を実感する。しかし、中高域がクリアになった分、今度は低音の不足が気になり始める。イヤホンのマルチドライバー的な表現を目指すなら、やはりサブウーファーが必要だと感じたのだ。
そこで福田さんが目をつけたのが、パイオニアのハイエンドモデル「TS-W1000RS」だった。インストールはPARADAに依頼し、ラゲッジスペースに合わせた特製エンクロージャーを製作。多角形のデザインは見た目にもかっこよく、フィットの内装に合わせたタンとブラックのツートーンレザー仕上げにもこだわった。「ギボシ(着脱式コネクター)を使っているので、荷物が多いときはサブウーファーを降ろせるのも便利です。細かいリクエストを出したわけじゃないのに、理想的なものを作ってもらえました」
その効果は絶大だった。「低音が増強されたのはもちろん、中高域の音も大きく変わりました。曲の表現力がグレードアップして、表情豊かな音になったんです」と福田さんは嬉しそうに語る。
現在、福田さんはこのフィットを「音質重視の日常使い」の車として活用。もう一台所有するホンダ『CR-X』はカスタム主体で楽しむと、見事に使い分けている。「オーディオをインストールしてから、車に乗る時間がさらに長くなりました。仕事帰りは大音量で音楽を聴くのが日課で、家の駐車場に着いても納得するまで聴き続けることも多い。音楽を聴くことが、一番のリフレッシュになっています」
探求心の強い福田さんは、オーディオ仲間の車を聴く機会も増えた。「他の車の音を聴くのはすごく楽しいです。すぐに欲しくなっちゃいますけどね。でも自分の車に戻って聴くと、やっぱり愛車の音が良いと再認識するんです」。次のプランは、フロア下に設置しているパワーアンプとDSPアンプのレイアウト変更。ラゲッジをフラットにし、ユニットをあからさまに見せない“純正然としたインストールデザイン”を目指している。
計画を立て、無駄なくひとつずつ進化させる福田さんのスタンスは、今後も変わらない。次のシステムアップを考える時間こそ、彼にとっての至福のひとときなのだ。