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国連が主催する「AI for Good」サミットでは、ロボットや最新技術が展示される中、人工知能(AI)をより良い社会にどう生かすかが議論されている。格差や人権問題への懸念が高まるなか、AIガバナンスは急速な技術進歩に追いつけるのだろうか。
会場では、ライブコーディングやAIの基礎を学ぶセッション、最新ガジェットが並ぶ展示エリア、緑色に光るサイレントディスコ風のヘッドフォンを着けてパネルディスカッションを聴く人々が行き交う。ようやく一息つける「Networking Zone(交流エリア)」には、中華料理店の回転テーブルを思わせる「UFOTECH」と呼ばれる回転式ベンチが設置されている。
このイベントは、国連の国際電気通信連合(ITU)が主催するサミット「AI for Good」(7月7日~10日開催)の会場である。民間企業と公共部門の代表者が集まり、AIを人類に害ではなく利益をもたらすためにどう活用すべきかを議論している。
シリコンバレーの経営幹部やAI研究所の責任者らがワシントンで超知能の危険性について証言し、ホワイトハウスが半導体輸出規制を打ち出す中、今年で10回目を迎えたこのサミットは、AI活用のより前向きな目標に焦点を当てている。
「責任あるかたちでAIを活用すれば、飢餓や疾病、地球温暖化といった人類が直面する差し迫った問題の解決に役立つ可能性があるとわたしたちは確信しています」と、ITU事務総局長のドリーン・ボグダンマーティンは、メインステージの基調講演で述べた。「いま、その考えが試されています。AIをよい目的のために活用しようと努力する一方で、AIそのものが新たな課題をもたらしているからです」
「よいこと」とは何か、それが人類にどのような利益をもたらすのか――この問いは、ジュネーブ空港近くの巨大コンベンションセンターで繰り返し議論された。各セッションでは、独占的な力を持つ巨大テック企業が十分な監視なしに社会への影響を顧みずAIを広め、世界の格差を固定し人権を損なっているという懸念が共有されていた。
現場で活動する人々の中には、テック業界への楽観的な見方を失った者もいる。権利擁護団体Access Nowのシニア人道支援担当者ジュリオ・コッピは、イベント会場での取材に応じ、人道支援機関や公共部門が巨大テック企業に過度に依存している現状を批判した。「わたしたちはもう、知らなかったでは済まされない段階に来ています」とコッピは述べ、テック企業を友人のように信頼しすぎるのをやめるべきだと訴える。さらに、公的資金を使った数百万ドル規模の不透明な契約がこの10年間結ばれてきたと指摘し、「利用している技術の構成すら説明できません。中身が変わり続けているからです」と警告した。
しかし、コッピの批判は他の抗議に比べれば穏やかだった。アマゾンの最高技術責任者ヴェルナー・フォーゲルスの基調講演中、親パレスチナの活動家らがステージに押しかけ、同社の技術がイスラエルによるパレスチナ人への攻撃に使われていると抗議した。活動家らはその後、係員によって会場外に連れ出された。
「AIについて語るとき、人々は期待に胸を膨らませ、興奮します」と、ハーバード大学の工学教授ビジェイ・ジャナパ・レッディは、複数の講演が同時進行する騒がしい会場で語った。「ですが、実際にはなかなか期待通りには実現しません」
問題は、「よいこと」という言葉が設計の基準としてあまりにも曖昧であることだ。「開発者にとって『よい(good)』という言葉には意味がありません。『よいものをつくってください』と言われても、何をつくればよいのかわかりません。5分しか飛べない飛行機は、『よい飛行機』とは言えないでしょう」