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世界最大のスポーツ用品メーカー、ナイキの前年度(2026年5月期)決算は、売上高が前期並みの463億9000万ドル(約7兆4224億円)、純利益は前期比3%減の31億ドル(約4960億円)で着地した。表面上は横ばいにも映る数字だが、内実は構造改革の厳しさを物語っている。
ナイキは2024年10月にエリオット・ヒル氏がCEOに就任し、乱発されていた値引きを抑制するとともに、ブランド全体の立て直しを急ピッチで進めている。各事業セグメントを詳細に分析すると、改革の進捗と同時に複数の活路も見えてきた。
直営店(DTC)セクターは集客が伸び悩み、在庫過多と値引き頼みの販売が収益を圧迫。ヒルCEOは「ブランド価値を損なう値引き販売を止め、プレミアム感を回復させる」と強調するが、直営チャネルの立て直しには時間を要するとの見方が強い。
一方で、卸売り事業は復調の兆しを見せている。主要なスポーツ小売チェーンとの連携を強化し、高価格帯の競技用シューズやアパレルを中心に販売が回復。さらに、ランニングやバスケットボールといった競技用スポーツ分野への投資を拡大し、プロアスリートとのパートナーシップも強化している。
アナリストの間では「26年中は構造改革が続く」との声が多く、価格戦略の正常化と直営店の効率化が焦点となる。競技用強化と卸売り復調が相まって、今期後半には業績の明確な上向きが期待されるが、王者の復権を果たせるかは、ブランドマージン維持と消費者心理の回復にかかっている。