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タイのポップスが流れる店内では、ドーム型の鍋から湯気が立ち上る。札幌・ススキノにあるタイ料理「ムーガタ」専門店「サワディー」だ。鍋の中央で豚バラ肉が焼かれ、溶けた脂が周囲の溝に流れ込み、海鮮や野菜のスープと混ざり合う。「どう見てもジンギスカン鍋だねってよく言われますよ」とオーナーの尾崎淳一さん(54)は笑う。
店を開く前、尾崎さんは建設会社の営業マンだった。新型コロナウイルス禍で物流が停滞し、会社の業績は悪化。早期退職を選んだ時、頭にあったのは50回以上訪れたタイへの移住だったが、円安の影響で断念せざるを得なかった。
「じゃあ何をしようか」。思い浮かんだのは、タイ人の妻スパラットさん(42)が幼い頃から親しんできた「ムーガタ」だった。タイ語で「ムー」は豚、「ガタ」は浅い鍋を意味する。鍋文化が根付く北海道なら、きっと受け入れてもらえるはずだと考えた。
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