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消防隊員2人が殉職した昨年8月の大阪・道頓堀でのビル火災で、現場付近の防犯カメラに、たばこの不始末で火災を招いたとする重過失失火容疑で書類送検された会社員の男(35)=大阪市都島区=が、たばこをポイ捨てしたり歩きたばこをしたりする様子が事件前にも複数回写っていたことが17日、捜査関係者への取材で分かった。
こうした防犯カメラ映像などの捜査から、大阪府警は男がビル周辺で日常的にたばこを不適切に扱っていた可能性があるとみている。捜査関係者によると、火元となったビル1階の室外機付近からは複数のたばこの吸い殻が見つかっているが、捨てた人物の特定はできていないという。
男の書類送検容疑は昨年8月18日午前、大阪市中央区宗右衛門町の遊歩道でたばこを火の付いた状態で捨て、ビル2棟延べ約300平方メートルを焼損させたとしている。男は当時、ビル内の飲食店で働いていた。
この火災では消火活動中に消防司令、森貴志さん(55)=年齢、階級はいずれも当時=と消防士、長友光成さん(22)=同=が死亡。隊員4人を含む5人が負傷した。府警は、消防隊員2人が死亡する結果までは予見できなかったとして重過失致死容疑の適用は見送っている。
たばこのポイ捨てが原因とされる大阪・道頓堀のビル火災。大阪市消防局は、火災の初期段階でたばこ特有の現象で、炎を伴わない「無炎燃焼」が起きたとみている。
大阪府警は、書類送検された男がたばこをポイ捨てしたのは発生日の午前9時半ごろとしている。一方、市消防局の事故調査報告書では火災の発生時間は同9時45分ごろ。約15分の差がある。
市消防局はこの間、無炎燃焼が発生したと推定する。すぐに炎が立ち上ったのではなく、たばこが火種となってごみ類に着火した後、風の吹きこみやほかの可燃物に触れることで炎を伴った燃焼に変わった可能性が高いとしている。
埼玉県深谷市消防本部消防長などを務めた危機管理防災アドバイザーの田中章氏によると、たばこの火は長時間燃え続けることが特徴。消えたと思っても火種が残り、炎を出さずにいぶり続け、数十分から数時間後に火災になるケースも多々あるという。
火が付いたたばこの先端の温度は最高で700~800度とされる。高い危険性が潜む一方、炎が出るまでに時間を要するため、ポイ捨てした人物がその場を離れてしまい、延焼に気付くのが遅れるリスクもある。
田中氏は「地面や靴の裏にこするだけでは完全に消えない」と指摘した上で、「本質的にはモラルの問題。たばこの不始末が人の命を奪う可能性を認識しなければこの種の火災はなくならない」と警鐘を鳴らしている。