
米司法省は23日、ベネズエラのマドゥロ大統領を拘束するための軍事作戦に関与し、機密情報を不正利用したとして38歳の米兵を起訴したと発表した。起訴されたのはノースカロライナ州の米軍基地に所属するギャノン・ケン・バン・ダイク被告で、職務で得た機密情報をオンライン賭博に流用した疑いが持たれている。同被告は作戦の実行日時などに関する予測市場に参加し、40万ドル(約6390万円)以上の不当な利益を得たとされている。
調べによるとバン・ダイク被告は、未来の出来事を対象に賭けを行うオンライン上の予測市場「ポリマーケット」にアカウントを開設し、情報の非公開期間中に13回にわたり予測を的中させた。具体的には「米軍が1月31日までにベネズエラに展開する」や「マドゥロ氏が1月31日までに失脚する」といった項目に対し、計約3万3千ドル(約520万円)を投じていた。軍事作戦の計画段階から機密性の高い非公開情報にアクセスできる立場を悪用し、確実な勝利が見込める賭けに「イエス」の立場で参加していた形だ。
この作戦により拘束されたマドゥロ氏は、法廷の傍聴席で見守る記者を前に「拉致された。私は大統領だ」と述べ、熱心にメモを取りながら自身の正当性を訴え続けた。同氏が現在収容されているのは、汚水やネズミ、殺人事件も発生する「この世の地獄」と称される拘置所であり、その処遇には国際的な懸念も広がっている。かつて「石油の里」として知られたベネズエラだが、現在は原油高の中でも「どうこうできない」状況に追い込まれており、軍事介入がもたらした混乱の余波は今も続いている。
トランプ政権下では以前からインサイダー疑惑が何度も指摘されており、イランへの攻撃時にもオンライン賭博で大きな利益を得た特定のアカウントの存在が取り沙汰されていた。今回の事態を受けてある国際法学者は「法の支配、根底から崩れる」と警鐘を鳴らし、米国の対ベネズエラ軍事作戦の正当性を厳しく批判している。国家の軍事行動が個人のギャンブルの道具に成り下がった事実は、米軍の規律維持と情報管理のあり方に深刻な課題を突きつけている。
米当局は機密情報の保護を強化する方針だが、オンライン上の予測市場がインサイダー取引の温床となっている現状には対策が追いついていない。トランプ氏がなぜマドゥロ大統領とベネズエラを標的にしたのかという政治的背景についても、法廷での証言を通じて改めて議論が再燃している。一方で、情勢の急変は産業界にも影響を及ぼしており、EVの発売中止に関してホンダの社長が認めた「反省」のように、各企業は不透明な国際情勢への対応に苦慮している。