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「真夜中の熱狂」は90年前の日本人も同じだった。昭和11(1936)年8月11日、ベルリン五輪水泳200メートル平泳ぎで、日本人女子初の五輪金メダリストに輝いた前畑秀子。日本時間はすでに深夜零時を少し回っていた。
「前畑ガンバレ!」で知られるラジオ実況を聞いた国民は数百万人に上り、全国が一体となって彼女の泳ぎを見守った。当時はテレビもなく、ラジオが唯一の情報源だった。
現在の五輪やサッカーワールドカップと同様、海外との時差にもひるまず、同胞の勝利を母国から祈っていたのだ。その熱気は深夜の街中にも広がり、多くの人が集まってラジオに耳を傾けた。
しかし、同じベルリン五輪で活躍した男子サッカー日本代表のストライカーは、後に戦場へ送られ命を落とした。勝利の喜びと戦争の悲劇が交錯する時代だった。
前畑の金メダルは日本中に希望をもたらしたが、選手たちのその後の運命は多様だった。「色のある昭和」は、こうした光と影を伝える歴史の一片である。