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「多少の逆風ではびくともしない柱があるのがトヨタさんの強み。うらやましい限りです」。先日、トランプ関税への対応に頭を悩ませる某メーカー幹部と話した際、彼はこう漏らした。しかも、その揺るぎない大黒柱は一本だけではない。国内はもとより世界各地で長く着実に売れ続ける定番商品——「ランドクルーザー」があり、「ハイエース」があり、そしてこの「RAV4」がある。
そのRAV4の6代目となる新型が登場した。いまやトヨタの最量販モデルへと上り詰めた看板車種だ。日本には導入されなかった4代目も人気を博したが、5代目へのモデルチェンジでさらに販売台数を伸ばし、2020年に初めて年間100万台を突破。2024年には118万台余りを売り上げ、「テスラ・モデルY」を僅差で抑えて世界No.1モデルに輝いた。名前だけで勘定すれば「カローラ」のほうが多いように思われるかもしれないが、あちらはセダンからSUVまで各種モデルの合算。RAV4はひとつの車型で、スバルやマツダ全体に匹敵する100万台超えなのだから、トヨタとしてもこれほど頼もしい話はない。ブランド認知に効く高性能スポーツカーも必要だろうが、盤石の稼ぐ力を持つ商品あってこそのトヨタである。かつてはカローラ、今ではSUVのRAV4が大看板というわけだ。
国内向けの新型は、2025年12月にまずハイブリッドが発売され、2026年2月にはプラグインハイブリッド車(PHEV)も追加された。ラインナップは先代のようにFWDガソリン車からPHEVまで幅広くそろえるのではなく、ハイブリッドが上級グレード「Z」とオフロード志向の「アドベンチャー」の2車種。PHEVが「Z」と「GRスポーツ」の2車種で、計4車種に整理された。つまりアドベンチャーはハイブリッドのみの設定だ。今回、国内向けでは最廉価となるこのアドベンチャーで、その仕上がりを確かめた。
搭載されるのはおなじみの2.5リッター直4エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステム(純エンジン車は中国など一部海外市場向け)。国内向けはすべて4WDで、後軸をモーターで駆動する「E-Four」である。先代にはガソリン車向けの「ダイナミックトルクコントロール」や「ダイナミックトルクベクタリング」、ハイブリッド用の「E-Four」という3種類の4WDシステムがあったが、新型は一気に整理統合された。売れっ子ゆえに、まずは車種を絞って供給体制を整える狙いかもしれない。それでも納期は依然として見通せない状況だという。世界各国から引き合いがあり、円安のいまだからこそ海外に多く割り振ったほうが正直もうかる——北米だけでざっと50万台売れている——という事情もありそうだが、「またか」と感じるユーザーも少なくないはずだ。先代には300万円を切るガソリン・FWDのグレードも存在したが、新型は装備を簡略化したエントリーグレードのアドベンチャーでも450万円。ハイブリッドのZは490万円である。
エクステリアはすっかり見慣れたハンマーヘッド顔に一新されたが、ヒット作の伝統を踏襲すべく、ホイールベースなどの基本ディメンションは変わらない。一方、カウルを40mm低めたというダッシュボードはシンプルな直線基調に変更され、見晴らしが良好だ。トリムの樹脂材の見栄えや手触りは割り切りがうかがえ、よく言えば簡潔、悪く言えばややビジネスライクな雰囲気。だが物理スイッチも適度に残され、アドベンチャーでは一般的なシフトレバーが採用されていることもあって(他のグレードは電子制御式の小さなレバー)、戸惑うことなく操作できる。新しさを演出しながら先進的すぎないバランス感覚は、さすがベストセラーである。室内は十分に広く、もともと大きかったラゲッジスペースは749リッターへとさらに拡大(+16リッター)した。
ソフトウエア開発のプラットフォーム「アリーン」を初採用したのも新型の特徴だ。ひと昔前なら最新技術はまず「クラウン」に投入するのが常識だったが、今や売れっ子のRAV4がその役割を担う(全面的ではないというが)。どれがアリーンの成果かと指摘するのは難しいが、ひとつ発見したのは、他のモデルにも採用されているプロアクティブドライビングアシスト(PDA)の減速制御が緻密になっていること。前走車との車間を保つ様子にもほぼ違和感がない。
2.5リッター直4は最高出力が186PS/6000rpmにわずかに向上し、最大トルクは221N・m/3600-5200rpmで変わらず。フロントモーターも136PSへとパワーアップし(リアモーターは54PSのまま)、システム最高出力は先代ハイブリッドの222PSから240PSに引き上げられた。そのうえでWLTCモード燃費は22.9km/リッターと10%改善しているのだからさすがである。
何よりうれしいのは、数値以上に、実際の走行中の微妙なスロットルやブレーキ操作にもリニアに反応するようになったことだ。さらに、これまでの2.5リッターハイブリッドシステムの弱点だった「エンジンがかかった途端に興ざめする」という場面が、ほとんど気にならなくなった(踏みっぱなしで山道を登るような場面を除けば)。軽快なドライバビリティーに、まずまずフラットな乗り心地も加わって、トヨタの現行ハイブリッド車のなかでもベストではないかと思えるほどの洗練度である。
安全運転支援システムはアドベンチャーでも完備。信号が変わったことや後方からの接近車両まで、よそ見をしていれば細かく——うるさく?——注意してくれるほど至れり尽くせりだ。「アドベンチャー」を名乗ってはいるが、これで本格的なオフロードに踏み入る人は多くないだろう。それでも、たまにキャンプやスキーに出かけるような使い方を考えれば、明らかな欠点は見当たらない。実用的なファミリーSUVとして、まさに隙のない完成度である。
(ボディーサイズは全長4620×全幅1880×全高1680mm、ホイールベース2690mm、車重1710kg。エンジンは2.5リッター直4 DOHC 16バルブで、フロントモーター最高出力136PS、リアモーター最高出力54PS、システム最高出力240PS。トランスミッションはCVT。価格はアドベンチャーが450万円、テスト車はITSコネクトやパノラマムーンルーフなどを装備し469万8000円だった)