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「前にも話したと思いますが」「聞いていなかったんですか?」——。上司が何気なく口にするこれらの言葉が、若手社員の心を静かに崩壊させている。部下が「指示がないと動かない」理由は、能力の低さではなく、上司の伝え方にあると指摘する専門家は多い。
職場で頻繁に交わされるこれらのフレーズ。発言した上司側には悪意がない。単なる確認や事実の指摘のつもりでも、受け取る若手側は「責められた」「否定された」と感じる。この認識のズレが積み重なると、若手は発言を恐れ、自ら考えて動く意欲を失っていく。
では、賢い上司はどうしているのか。まず「前にも話しましたが」を「改めて共有させてください」に言い換える。また「聞いていなかったんですか?」を「私の説明が足りませんでした。もう一度お伝えしますね」と自分ごとに変換して伝える。この言い換えは、部下の心理的負担を大きく軽減する。
さらに、指示を出す際には「いつまでに」「何を」「どこまで」を具体化することが不可欠だ。あいまいな指示は部下に過剰な解釈を強いる。同時に、上司が「ここは分かりにくいですよね」と率直に認める姿勢を見せることで、部下は「質問していいんだ」という安心感を得られる。この安心感こそが、指示待ち社員を自律した社員へと変える原動力になる。
最終的に重要なのは、「伝えたか」ではなく「伝わったか」を確認する習慣だ。若手は経験不足から、分からないことが分からないという状況に陥りやすい。「教える」から「一緒に考える」への転換。その一歩を日常の言葉遣いから始めることで、上司と部下の信頼関係は確実に築かれていく。