
アクセンチュアは2026年5月11日、AIスタートアップAnthropicとの戦略的パートナーシップに基づく日本での協業体制を本格始動した。同年5月1日に「アクセンチュア Anthropic ビジネスグループ」が活動を開始し、AIモデル「Claude」を軸に国内企業の変革を支援する4つの領域を打ち出した。
両社は2025年12月にグローバル規模でのパートナーシップ拡大を発表しており、「責任あるAI」を共通の価値観とし、金融やライフサイエンス、医療、公共分野といった規制業界向けソリューション開発を推進。2026年3月にはClaudeベースのサイバーセキュリティ運用ソリューション「Cyber.AI」を発表し、アクセンチュア従業員約3万人を対象としたClaude研修も進めている。
日本展開では、日本企業特有のIT環境や業界特性を踏まえ、Claudeを業務運用に組み込む方針だ。単なる個別業務の効率化に留まらず、戦略から業務プロセス、組織・人材・文化、テクノロジーまで横断する全社的な変革として設計・実行する。
具体的には、経営層との戦略対話を起点に業務の可視化と再設計を進め、コーディング支援ツール「Claude Code」や業務支援AIエージェント「Claude Cowork」を活用して実装。既存システムや組織体制との整合性を考慮した設計、運用、チェンジマネジメントによる定着を支援する。
ソフトウェア開発工程では、要件定義、設計、開発、テスト、リリース、運用の各フェーズにAIを組み込み、市場環境の変化や規制要件への対応スピードを向上。Claude CodeはAnthropic独自の安全学習手法「Constitutional AI」を搭載し、リスクの高いコード生成を抑止。仕様やテストの事前定義、多段階の品質チェック、変更履歴の自動記録によりガバナンス体制を整備する。
基幹システム変換では、アクセンチュアの変換ツール「MAJALIS」とClaudeを組み合わせる。MAJALISが既存資産を標準Javaに変換し、Claudeがコード解析、仕様可視化、テスト生成を担当。移行後の可読性・保守性・拡張性を高める。
サイバーセキュリティ分野では、アクセンチュア独自開発のAIエージェント群とClaudeを統合した「Cyber.AI」を提供。3万人超のサイバーセキュリティ専門家と連携し、アセスメント、トリアージ、復旧、継続的な高度化を支援。AI活用を前提としたセキュリティガバナンス設計やインシデント対応力強化、業界固有の規制要件対応にも取り組む。
Anthropic Japanの東條英俊社長は「日本のお客さまとの対話を重ねる中で、生成AIに求められているのは性能の高さだけでなく、自社の業務や文化に根ざした形で安心して使えることだと実感している」とコメント。協業の意義を強調した。
編注:Constitutional AIはAnthropic独自の安全学習手法。あらかじめ「憲法」(行動原則)として倫理や価値観を学習させることで、Claudeに成果物を評価・修正させる仕組み。