
大阪市で令和4年、同居する男にゴルフクラブで殴られ死亡した女性の遺族が、民事裁判で女性の「汚名」をすすごうと準備を進めている。刑事裁判は男の供述をもとに、「女性が元交際男性と組んで男を陥れようとした」ことが事件の発端だと認定した。だが昨年まで行方が分からなかった元交際男性から新証言を得て、遺族はこの認定が「誤りだった」と訴える。
遺族は大阪府枚方市の看護師、中嶋たまきさん(56)。中嶋さんの次女=当時(22)=は4年3月、頭に衣類を巻かれた状態で中田正順受刑者(43)からゴルフクラブで多数回殴られ失血死した。全身の傷は60カ所以上に上り、遺体は「悲惨、無残という言葉に尽きる」(中嶋さん)状態だったという。
6年1月に大阪地裁で始まった裁判員裁判では遺族の思いとは違う形で審理が進んだ。遺体写真は裁判員の心理的な負担になる「刺激証拠」として証拠採用されず、検察側はイラストを用いて遺体の状況を説明せざるをえなかった。
その影響があったかどうかは分からないが、同年2月の判決は「殺意があったとは認められない」と判示。起訴された殺人罪の成立を認めず傷害致死罪を適用、懲役10年(求刑懲役16年)を言い渡した。受刑者側が控訴・上告したが、判決はその後確定した。
殺人罪が適用されないことにも驚いたが、中嶋さんが「母親として絶対に認められない」と感じたのが、事件の動機に関する認定だった。
女性から、自分の金を奪って覚醒剤の売人だった元交際男性と逃げる計画だったと聞かされ、恐怖を感じた。身を守るためと、騒がれて通報され自分の覚醒剤使用が発覚しないようにするため女性を拘束し暴行した-。