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今やJリーグを代表するビッグクラブへと成長した浦和レッズ。だが、その歴史に刻まれたJ1優勝は、2006年の一度だけ。ACLでは三度の頂点を誇りながら、国内リーグでは長く頂から遠ざかっている現状は、クラブだけでなく日本サッカー界全体の課題とも言えるだろう。
2026/27シーズンから、その変革のバトンを託されたのが、クラブOBでもある曺貴裁監督だ。就任会見で堀之内聖SDが「彼の熱さ、熱量が必要だと感じた」と語ったように、チームに新たな風を吹き込もうとしている。目指すのは、相手コートからサッカーを始め、奪って、走り、ゴールを狙うアグレッシブなスタイル。「自分たちが自信を持てる“確固たる柱”を作る」という言葉に、指揮官の決意が込められている。
「昨季まではマンツーマンの守備をしていたと聞いています。ただ、私は相手コートからサッカーを始めること、奪われた後の切り替えで奪い返すことを根幹に置きたい。それができて初めて、ボールの動かし方や狙いどころという次の段階に進める」。曺監督はそう語り、その理想形としてFIFAワールドカップ2026準決勝のアルゼンチン代表の戦いを挙げる。「終盤に挙げた2ゴールも、鋭く前に出て奪った形だった。ベタ引きではいつかやられる。そういう傾向は万国共通になりつつある」。この哲学を、京都サンガF.C.での経験を経て、今、愛する浦和に落とし込もうとしている。
就任後、指揮官がまず取り組んだのは、選手たちのマインド改革だった。沖縄キャンプでは個人面談を実施。昨季まで練習開始ギリギリにピッチへ出ていた選手たちの姿を聞き及んだ曺監督は、今では「いい意味で緊張感を持ち、早い時間から準備してくれている」と目の前の変化に手応えを感じている。「本当に強いチームは、一人ひとりが判断して準備できる集団。ワンプレーに全力で臨める状態になれば、チームはグッと伸びる」。勝つために必要な最低条件としての一体感を、いかにして作るか。40歳のベテランから17歳の若手まで、幅広い年齢層で構成される新チームに、指揮官の問いかけは続く。
今オフ、15名もの退団者が出たことで懐疑的な声も聞かれたが、新たに加わった戦力も頼もしい。ガンバ大阪から加入した南野遥海は、明治安田J1百年構想リーグで7得点を挙げた注目株だ。「京都にいた時からよく見ていた。シュートの決定率は我々のスカッドの中でかなり大事になってくる」と期待を寄せる。また、オーストラリアで優勝経験を持つ水沼宏太や、経験豊富な福井光輝、林幸多郎ら実績のある選手たちも加入。さらに、特別指定選手の大学生の台頭にも言及するなど、限られた戦力の中で可能性を広げようとしている。「自分がレッズを勝たせるんだという強い気持ちを持てるように、私が働きかけるのも重要な役割」。指揮官の言葉に、チームを変えようという覚悟が滲む。
ACL出場がない今季は、国内3タイトルに集中できる環境だ。過密日程を戦うライバルと比較して「一戦必勝で戦えるメリットがある」と前向きに捉える曺監督。埼玉スタジアムで行われた開幕戦のさいたまダービーでは、2-2のドロー発進となったが、チームは確実に新たな一歩を踏み出している。「ホームでは必ず圧倒する」。その言葉の実現へ、新生・浦和レッズの挑戦が始まった。