
フジ・メディア・ホールディングス(FMH)は12日、グループ全体の新たなビジョンを公表した。知的財産(IP)の創出と育成、さらには多面的な展開を強化していく方針を打ち出し、中核子会社であるフジテレビジョンには放送設備やスタジオをFMHに移管した上で、コンテンツ開発に特化した事業会社として競争力を高めるよう求める内容だ。
このビジョンでは、放送や配信などのメディア・コンテンツ事業について、2030年度の営業利益目標を従来の300億円から350億円に引き上げ、さらに33年度までに450億円を目指すと明記。IPを軸とした成長戦略で収益基盤を強化する狙いがあるとみられる。
一方、FMHが同日発表した2025年度(26年3月期)の連結決算は、営業損益が87億円の赤字(前の期は182億円の黒字)に転落した。メディア・コンテンツ事業は308億円の赤字を計上。元タレントを巡るトラブルに端を発した一連の問題で広告収入が大きく落ち込んだことが響いた。不動産事業は251億円の営業利益を確保したが、全体をカバーするには至らなかった。
27年3月期の業績見通しについては、広告収入の回復などを背景に営業損益で401億円の黒字を見込む。ただし、すでに公表している不動産事業への外部資本導入の影響は、今回の予想には盛り込んでいない。
また、フジテレビの新しい企業理念「ひとりの好きからはじまる熱を、世界中へあふれさせていく。」も同日公表された。東京都内で記者団の取材に応じた清水賢治社長は、「自らの仕事が本当に社会のためになっているのかと疑問を持ちながら取り組むことを、理念として再出発する」と述べ、コンプライアンス意識の徹底とコンテンツ力の再生を強調した。