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大手食品メーカーの工場に設置されたグレーのキャビネットには「MiSUMi」のロゴが光る。この小型ロッカーを連想させる設備は、作業員が顔認証で画面のロックを解除し、ECサイト風のインターフェースから必要な資材をタッチ操作で選ぶと、ロッカーの一つが自動的に開く仕組みだ。
作業員は新品のゴム手袋を取り出しロッカーを閉めると、すぐに作業に戻る。その瞬間、ミスミグループ本社(ミスミ)は顧客工場内で商品を販売したことになる。このサービス「MISUMI floow(フロー)」は、2022年に中国で本格展開が始まった。
フローはFA部品や金型、生産財をEC販売するミスミが提供する間接材の自動販売機だ。顧客は欲しい時に欲しい分だけ取り出せる。通常の飲料自販機と異なり、在庫状況がリアルタイムでミスミに送られ、欠品前に補充されるため「売り切れ」が絶対に起きない。顔認証とセンサーで誰がいつ何個取り出したかが記録され、顧客は月1回の支払いで済む。初期費用はゼロだ。
カタログ販売からECサイト、特注品の最短1日目出荷へと、納期短縮を追求してきたミスミ。その最新形が「0日納期」であり、顧客のもとに商品を置くことで実現した。この仕組みは、いかに早く部品を届けるかという同社の理念の延長線上にある。
このアイデアは、顧客の現場ニーズを徹底的に分析し、在庫管理の負担を軽減する発想から生まれた。ミスミは今後も、間接材の供給プロセスを革新し続ける方針だ。