
米国とイスラエルによる攻撃が開始されて以降、中東情勢は緊迫の度を一段と深めている。イラン政府の発表によると、16日までに約11万8千人が国外へ逃れたほか、約320万人が自宅を離れる「国内避難」を余儀なくされた。長年、160万人以上のアフガン難民を受け入れてきた同国だが、自国民の避難が重なり、人道支援の維持が極めて困難な局面を迎えている。
イスラエルからの激しい攻撃を受けるレバノンでも、避難民の流出が加速している。ここ数カ月で4万3千人が隣国のシリアへ逃れたほか、国内では100万人以上が避難生活を送る事態となった。約150万人のシリア難民を抱えるレバノンにおいて、自国民と難民が共に国境を越えてシリア側へ移動するという、異例かつ「複雑な状況、支援を」と叫ばれる事態が生じている。
現地の生活環境は日を追うごとに悪化しており、レバノンでは住民の5人に1人が軍事衝突の影響を受けている。空襲警報や爆発音が日常化するなか、子どもたちは学校に通えず、友人との交流も断たれた。かつての街並みはがれきと化しており、食料品店や薬局といった生活基盤は崩壊し、国の医療や経済の持続可能性は極めて脆弱な状態に陥っている。
国際社会からは厳しい指摘が相次いでおり、国連特別報告者は「イランの人権状況、米イスラエルの攻撃で深刻化」と警告を発した。中東全体で4500万人が食糧不安に直面するなか、現場からは「飢える人を忘れないで」との切実な訴えが上がっている。また、東大・佐橋教授は緊迫するホルムズ海峡の情勢を巡り「日本はどう向き合う?」と、日本政府の外交姿勢を厳しく問い直している。
一般的に5年以上の避難が続く状態は「長期化した難民状況」と呼ばれ、世界の難民の大多数がこの苦境にある。難民の約70%が低・中所得国に滞在しているが、法的地位が不安定なままでは教育や就労の機会を得ることは難しい。中東各地で人道危機が連鎖するなか、一刻も早い情勢の安定と、避難民に対する包括的な保護が不可欠な局面を迎えている。