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筆者とサンケイ1~3号君の中で、最も正直な3号君が言うのだから間違いない。
13時5分、矢島を出発し、羽後本荘で折り返して14時34分に矢島に戻ってくるレストラン列車「アフェット トレイン」は、幸せの列車だ。
発車前、駅の待合室で供されたワイン用ブドウを使った100%ジュース「ワインに恋するブドウたち」の濃厚さにまずうならされた。もちろん地元・由利本荘市矢島町産である。
列車が動き出してすぐ出された前菜の「蕪の冷製スフォルマート 甘海老のブランデー漬け」は、大谷翔平が放つ先頭打者ホームランである。スフォルマートは、簡単にいえば「イタリア版茶碗蒸し」だそうだが、舌にとろける甘海老のピンクと、蕪の緑が目にも鮮やかだ。
中押しのスズキのカツレツとボッタルガ(からすみ)、それに秋田産野菜の一品は、チームワークよろしく各々が役割を果たし、いい仕事をしている。
とどめは、「豚ロースのポルケッタ」だ。ポルケッタは、豚肉にハーブやスパイスをすり込んで焼き上げたローストポークのことで、カリカリの皮と柔らかな肉のハーモニーが素晴らしい。もちろん豚肉は地元産だ。
旨い酒と旨い料理は、ヒトとヒトの距離を縮める。隣の席に座った何樫さんは、前郷駅近くに2軒の豪邸をお持ちのようで、3号君にしきりと移住を勧めていた。彼がどう答えたかは、酔っ払って覚えていない。
車内で腕を振るったのは、羽後本荘駅近くのイタリア料理店「affetto akita」の村上茂シェフだ。
「最初は列車で食べられる豪華弁当を頼まれたんですが、やるからには秋田の素材にこだわった本格的なイタリアンをお出ししたくて始めたんです」
車内の狭い調理場で、往復約1時間半の間に5品の料理とデザートを出すのは至難の業。当初は、デザートを出す前に矢島駅に着いてしまったこともあるという。この日は同駅近くにある天寿酒造の酒粕を使ったティラミスを食べ終えたところで、終着駅に滑り込んだ。
「アフェット トレイン」は要予約。今シーズンは、8月8日と9月21日に空きがあるという。1人1万8千円と少々お高いが、リピーターも多いとか。
さぁ、これから「令和阿房列車で行こうパートⅤ」を締めくくる列車に乗ろう。続きは、明日のこころだぁ!(コラムニスト 乾正人)